原子力コスト、政府委員会で本格検討 他電源と比較し、年内に閣僚会議に報告 鈴木原子力委員長代理が説明 将来建設の120万kW級で

政府のエネルギー・環境会議の「コスト等検証委員会」(委員長=石田勝之・内閣府副大臣)は15日、東京・霞が関の第四合同庁舎で、原子力を議題に第4回会合を開いた(=写真)。

まず、検討に当たり原子力発電の前提諸元データの確認を行った。為替レートは2010年の平均1ドル85.74円、割引率各0、1、3、5%、モデルプラント1基の出力を120万kWと決め、設備利用率は他の電源と同様に80、70、60、50、10%。稼働年数は40年、30年。建設費は35万円/kW、廃炉処理費用680億円、人件費、修繕費など運転維持費などの数値を示した。

委員からは、原子力はベースロードなので設備利用率10%は試算からはずしてもいいのではないか、稼働年数などはOECDでは60年との試算もあり、せめて50年は試算すべき、廃炉費用は本当にこの額でできるのか電力会社に問い合せすべき、などの意見が出された。

次いで、原子力委員会の「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の座長を務めた鈴木達治郎・原子力委員会委員長代理が、コスト等検証委員会から検討を依頼されていた(1)原子力発電の核燃料サイクル費用(2)原子力発電の将来リスク対応費用──の考え方・算出について説明し、意見交換を行った。

委員からは、50年先のことは分からず、割引率3%などが50年も続くなどと考えるべきではない、財産価値の毀損や追加的な行政費用の扱いがどうなるのか課題だ、再処理工場での事故リスクを無視しているのは問題、除染費用についてはまだ一部しか算入されていない、などの意見が出された。今後、さらに事務局で精査して、次回会合で検討する予定。

また、同日の議題となっていた「原子力発電の追加的安全対策費用等について」は次回25日に審議することになった。当日配布された資料の中では、福島事故以降に採られた全国の原子力発電所の追加的安全対策費用は、サンプルプラントの平均値で、約194億円となっている。

25日はこの他、各電源の共通事項を検討することになっており、12月中には検討結果を取りまとめ、関係閣僚によるエネルギー・環境会議に報告する計画だ。

なお今会合から、内閣官房の国家戦略室ホームページからインターネットで同時中継が実施されるようになった。


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