ストレステストで問題なし フィンランドの原子力開発

フィンランドの大手電力事業3社や規制当局などの代表者18名からなる訪日団が21日に都内の原産協会を訪れた。同国原子力学会の手配によるもので、欧州で義務付けられたストレステストの結果や同国内で進展中の原子力プロジェクト等について最新情報が提供されている。

同国ではチェルノブイリ事故後、欧州で初めての新設計画となったオルキルオト原子力発電所3号機(OL3)を2005年に着工したほか、昨年7月に同国議会が新設プロジェクト2件の原則決定を承認。福島事故後も議会が既に承認済みの建設計画については、安全性に留意しつつ推進していく覚悟だ。また、2001年に世界で初めて、使用済み燃料を含む高レベル廃棄物の最終処分場サイトを決定。電力2社が協同出資するポシバ社は04年から地下岩盤特性調査施設(ONKALO)の建設をオルキルオト半島で開始した。

新設計画の進展状況

訪日したテオリスーデン・ボイマ社(TVO)社員によると、OL3の完成は着工当初の2009年から大幅に遅れ、今年10月時点の予測では2014年にずれ込む見通し。原子力設備の土木建設工事は完了したほか、主要機器の設置作業も終点に近づいた。現在、配管や電気設備の設置およびケーブル敷設作業を継続中で、計装制御系の設計・認可手続きも作業が残っている。全体としては起動フェーズに向けた準備に入っており、運転統括組織の設置と運転訓練用シミュレータのテストも始まっている。

10月に中西部のピュハヨキを建設サイトに決定したフェンノボイマ社の新設計画は、いよいよ原子炉設計の選定段階に入った。アレバ社の170万kW級EPRか125万kWの先進的BWRの「KERENA」、もしくは東芝のABWRとなる予定で、両社にはすでに今年7月、入札案内状を送付済み。14年までにサイト準備作業と建設許可およびその他の許認可手続きを済ませた後、15年〜19年に建設工事を実施し、20年以降の運開を目指す。操業期間は少なくとも60年間を予定しており、50年以降に廃棄物処分を開始することになる。

ストレステストの結果

放射線・原子力安全庁(STUK)が稼働中のロビーサ1、2号機とオルキルオト1、2号機、および建設中のOL3で実施したストレステストの結果、いずれにおいても直ちに手当や設計変更が必要な問題および欠陥は見あたらなかった。

ただし、更なる安全性強化のため、STUKでは予備プランとして以下の対策を検討中。すなわち、ロビーサ発電所では最終ヒートシンクである海水を喪失した場合の崩壊熱除去先の検討、ディーゼル駆動式緊急給水ポンプの信頼性を強化する――などだ。

また、オルキルオト発電所では、耐震性の更なる強化と火災対策機器の改良、および安全系や制御システム、バルブ操作に対するバックアップ電源の強化配備など。OL3では例外的な外部事象が発生した際の崩壊熱除去や使用済み燃料プールへの給水等について調査を実施中である。

どちらも12月15日までに行動計画案と分析結果をSTUKに提出することになっており、これらの多くは2013年〜14年の定期検査中に実際の改善作業として行うことになる。


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