動く臓器に正確な照射 北大・島津製作所 動体追跡技術を利用

北海道大学と島津製作所は、「次世代高精度放射線治療のための新動体追跡技術」の商品化に向けた共同開発を行い、試作機が完成したことを発表した。

開発中の装置はX線治療装置と組み合わせて使うもので、北海道大学の白土博樹教授と石川正純教授らが研究を進めてきた動体追跡技術を利用した。呼吸時に動いてしまう肺や肝臓などの腫瘍に対応してがん組織のみをリアルタイムで捉えて正確にピンポイント照射できるシステムとなっている。

まず、腫瘍付近に刺入した2ミリの金マーカーと腫瘍の関係をCT装置で事前に把握しておき、2方向からのX線透視装置で透視画像上の金マーカーをパターン認識技術で自動抽出。空間上の位置を周期的に繰り返し計算して計画位置から数ミリの範囲の時のみ高速で同期照射する。従来の呼吸性移動に対応した照射法に比べ、照射体積を4分の1から2分の1に減らし、不必要な部位への照射を大幅に減少できる。

今後は、試作機で様々な試験を行って完成度を高め、海外進出も視野に入れながら2012年度の商品化を目指していく。


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