次回に再度集中審議 原子力課題になお時間 コスト検証委 共通項目は整理

政府のエネルギー・環境会議の「コスト等検証委員会」(委員長=石田勝之・内閣府副大臣)の第5回会合が東京・霞が関の第四合同庁舎で開かれ、前回積み残しとなった原子力発電の追加的安全対策費、各電源の政府予算としての政策経費や系統安定化コストなどについて審議したが、原子力関連のコストについては次回12月6日の第6回会合で改めて集中審議することにした。

3月の福島原子力発電所の事故を受けて、日本全国にある原子力発電所の追加的安全対策費として、国が電力会社に指示した(1)緊急安全対策(2)非常用ディーゼル発電機対策(3)外部電源の信頼性確保(4)シビアアクシデントへの対応措置──の合計額を、モデルプラントに置き換えて算出、中長期対策としての防波壁などの建設費も含めて、1基当たりでは約194億円と試算した。

各電源の政府予算としての政策経費は、(1)立地(2)防災(3)広報(周辺地域)(4)広報(全国)(5)設備の導入支援(一部補助)(6)資源開発(海外での資源獲得能力の強化等)(7)備蓄(8)人材育成(9)評価・調査(知見の収集)(10)発電技術開発(実証経費)(11)将来発電技術開発(12)CCS(CO回収・貯留の実証試験等支援経費)──に分けて、集計した。

委員からは、原子力発電はエネルギーとしての備蓄や技術エネルギーとしての資源開発にも大きな効果を発揮するので、そのような視点からの評価も必要ではないかとの指摘や、1兆4000億円以上の高額に達する石油備蓄については試算からはずすべきではないかとの意見などが出された。

企業の広告費や寄付金については、事務局の国家戦略室の案では、個別の電源別に分けることは難しいとしている。

事故リスクの関連質問では、福島原子力発電所の発電設備や核燃料の損害額、発電できなかったことによる遺失利益も考慮すべきとの意見に対しては、東日本大震災で被害を受けた火力発電所や水力発電所にも同様に発生しており、必ずしもシビアアクシデントによる損害額と確定することは難しい、とした。

また、福島第一原子力発電所5、6号機および福島第二原子力発電所4基の損害額は算入しなくてもよいのかとの指摘に対しては、これらの事故はシビアアクシデントではなく、福島第一1〜4号機事故によるものとも言えないため、損害額に含めないことが適当だと考えるとしている。


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