【原子力ワンポイント】日本の放射線・放射能基準――福島第一原発事故〈番外編(15)〉 精米や製粉によりセシウムは大幅低減

セシウム137等は穀類の外皮(もみ)に多く、また玄米の胚芽に集まるので、精米するとセシウム137は65%が、小麦では製粉するとセシウムが20〜50%除去されます。水洗い、酢洗い、あくぬきもセシウム除去に有効です。検出器には、ゲルマニウム半導体検出器のほかに、NaI(Tl)シンチレーション検出器もあります。

ゲンくん 新米がセシウムで汚染されていることを心配している人が多いね。

カワさん 農水省は、米の放射性物質調査を福島県、茨城県、栃木県、群馬県、神奈川県、宮城県、山形県、新潟県、長野県、埼玉県、東京都、山梨県、静岡県で行うことにしました。暫定規制値を超えた場合は出荷制限となります。

ゲンくん 収穫した後ではセシウムを減らすことはできないの。

カワさん 財団法人原子力環境整備促進・資金管理センターは「食品の調理・加工による放射性核種の除去率」という報告書をまとめていて、その中で、セシウム137等は穀類の外皮(もみ)に多く、また玄米の胚芽に集まっているとしています。精米するとセシウム137は65%が除去されます。

ゲンくん ほかの食品ではどうなの。

カワさん 小麦は製粉にするとセシウムは20〜50%除去されます。グリーンピースは酢による洗浄と煮沸処理(あくぬき)でセシウムは50%除去されます。魚の場合は、放射性物質は概して内臓に集まるので、臓物を除くと大幅に低減できるそうです。また、魚肉の放射性物質は、調理における水洗や煮沸によって減少するそうです。キハダマグロの魚肉を水洗いするとセシウムは50%除去されます。カワマスも煮沸調理するとセシウムは50%除去されます。牛乳から脱脂乳にセシウムの80%が移り、精製したバターへはセシウムは1〜4%しか残らないそうです。

ゲンくん ところで、食品に含まれるセシウムはどうやって調べるの。

カワさん ガンマ線によるエネルギー分析でセシウムを調べます。専門機関ではゲルマニウム半導体検出器を用いてその分析を行っていますが、NaI(Tl)シンチレーション検出器もあります。NaI(Tl)シンチレーション検出器は、ゲルマニウム半導体検出器と比較すると、放射線のエネルギー測定の精度は劣りますが、計数効率(崩壊率(dpm)に対する計数率(cpm)の比)が高く、また、検出器部分を液体窒素で冷却する必要がなく維持管理が容易と言われています。市販のものでは、測定時間が15分程度、価格が100万円前後で茶筒型の測定室(直径12cm×高さ8.5cm)を持つものがあります。また、少し高価になりますが、パソコンと組み合わせたシステムを構築しているものでは測定時間は10分程度です。一方、測定室はありませんが、直径約5cmの検出器に鉛遮蔽体をかけるタイプもあります。このタイプは遮蔽体を用いると用いない場合の半分の数値に検出下限値がなります。バックグラウンドと言われている自然放射線の影響を避けることも必要です。

原産協会・政策推進部


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