温暖化や将来需給考え議論 東大 エネ政策を考えるシンポ

東京大学教員有志は11月25日、「日本のエネルギー政策を多面的に考える」をテーマとした特別企画シンポジウムを同大学駒場キャンパスで開催した(=写真)。

山口光恒・東京大学先端科学技術研究センター特任教授は「原子力事故とエネルギー・温暖化政策」の講演で、エネルギーはバランスよく使っていくべきとの立場から、温暖化対策にあたっては願望とリアリティを分けて考え、原子力発電なしに温暖化を2度以下に抑える目標は無理であることを認識すべきであると論じた。

瀬川浩司・東京大学先端科学技術研究センター教授は「太陽光発電の利用拡大に向けて──課題と展望」の講演で、太陽光発電は将来的に様々な可能性があるものの政策依存度が高すぎるのが問題であるとし、技術や生産力の海外流出を防ぐためにもブレーキをかけずに導入を進めていくべきとの意見を述べた。

荻本和彦・東京大学生産技術研究所特任教授は、「エネルギーシステムインテグレーション──日本の電力需給へのチャレンジ」の講演で、持続可能な社会に向けて再生エネルギーの導入のみならず、経済性や運用性を考慮しながら需給調整を行うことで対応していく事例を紹介した。

飯田哲也・NPO法人環境エネルギー政策研究所所長は、「エネルギー基本計画の見直しに向けて」の講演で、自然エネルギー導入に成功しているドイツなどの例を挙げ、日本も普及に向けての一層の取り組みが必要だと語った。

河野太郎・自由民主党衆議院議員は、「日本の原子力政策のあやまち」の講演で、いつまでたっても実現しない核燃料サイクルなど、原子力政策による補助金や交付金などが招いた腐敗にみんなで堕ちていった責任は大きく、政治から変えていかないと次の議論はできないと主張した。

講演者全員が揃った後半のパネルディスカッションでは、「経済を悪化させ実現の可能性が見えてこない温室効果ガス25%削減目標は凍結すべき」、「各エネルギーのメリットとデメリットをきちんと示し、次の総選挙の大きな争点にして国民に結論を出してもらいたい」など活発な意見が飛び交った。


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