福島事故へTMIの知見考察 機械学会シンポ

日本機械学会・動力エネルギーシステム部門(部門長=刑部真弘・東京海洋大学海洋工学部教授)は11月28日、「TMI事故から学ぶ3・11後処理戦略」と題するシンポジウムを東京大学で開催し、TMI事故で大統領指名により総指揮に当たったハロルド R.デントン氏(元米国NRC原子炉規制局長)らを招き、事態収束までの対応、その後のクリーンアップ戦略や事故検証の経緯などを聴くとともに、国内専門家も交えて討論し、福島事故処理への知見反映について考察した。

現在も原子力安全コンサルタントとして活躍するデントン氏は、TMI事故の特徴として、(1)当時商業炉の歴史の中で最も深刻な状況(2)大規模な公衆の避難が現実に(3)事業者による管理面・技術面・公衆への情報提供の面での運営が不能に(4)危機の進展が長期に(5)メディアが原子力に関して経験なし――をあげ、当時を振り返りながら、カーター大統領(当時)の指名を受け、事態収拾に向け指揮を執った経験を語った。大統領からは、毎日の緊密な連絡、連邦の全リソースの活用、地元知事との連携といった指示があったとし、知事との共同会見、大統領らによる中央制御室視察の映像が人々に安心感を与えたことを述べた上、選挙で選ばれた者が最終的責任を負うこと、技術的なスポークスマンの役割などを教訓にあげた。

また、事故後の損傷燃料の輸送、燃料取り出し達成までの放射線管理プログラムの監督に当たったロジャー P.ショー氏(ショー・パートナーズ社長)は、ベクテル社が開発したロボット「Rover」の活躍の模様を披露し、広範なエンジニアリング活用、放射線管理への挑戦に取り組んできた経験と、これらを通じ、遠隔操作技術の実証や、後継機の開発にもつながった米国の技術状況を紹介した。

福島事故を受けた米国の対応としては、デビッド W.ミラー氏(イリノイ大学教授)が、NRCによる短期タスクフォース検討結果を紹介、「巨大な地震と津波の組み合わせは、プラント設計で考慮していた外部事象を越えたもの」として、深層防護の重要性、設計基準防護を超えた脅威にさらされる可能性のあることを教訓にあげ、これらが新設炉に対する要件にも反映されていることなどを述べた。

ディスカッションでは、取り出し燃料の貯蔵技術、米国における原子力教育の状況などに関する意見交換が行われた。


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