原子力4協定が参院で可決、承認 玄葉外相 「相手国の期待に今後も応える」 露、韓、越、ヨルダンとの協力基盤 福島事故後も推進堅持

今臨時国会の最終日の9日、参議院本会議で日本とロシア、韓国、ベトナム、ヨルダンとの各原子力協力協定の一括採決が行われ、賛成183票、反対41票の賛成多数で、6日の衆院に続き可決、承認された(=写真)。ロシアとは同国のウラン濃縮工場を使って日本の英仏再処理からの回収ウランの再濃縮、韓国へは原子力発電所向け資機材の輸出、ヨルダンとベトナムへは原子力発電所本体の輸出が、当面の課題プロジェクトとして進んでおり、平和利用協力の基盤となる二国間協定の締結で、基本的な協力枠組が整備されることになる。

4協定は3月の福島原子力発電所事故の影響で、審議が止まっていたが、今179臨時国会中に民主党と自民党で承認合意が成立し、玄葉光一郎外相の趣旨説明など衆参両院で審議が進んだ。4か国は共に、協定署名後、各国内手続きを終了しており、日本も批准に向けた国内手続きを進める。

審議の中で玄葉外相は、「福島事故から得られるものを世界と共有する責務がある」と述べる一方、日本の高い原子力安全や核不拡散への貢献などの意義も強調した。また、「今までのように閣僚が積極的に海外にまで行って、原子力を売り込むことは違うのではないか」と述べながらも、福島事故後も、この4か国は日本との協定締結を強く標榜、我が国との協力を熱望していることを表明している、とした。

玄葉外相は、ロシアのプーチン首相から野田首相に、協定の早期締結を主な内容とした電話があったこと、トルコなどからも強力な協力要請があることを明らかにし、今後も相手国の強い日本への期待がある場合には、協力して行く方針を明らかにした。

参院本会議での採択では、公明党、みんなの党、共産党、社民党が反対。いままで賛成してきた公明党が、今国会では反対に回った。また民主党の数人の議員が投票直前に退席し棄権した。

日露協定は09年に当時の自公政権時に、他3協定は民主党連立政権になってから署名されたもので、このほかにインド、南アフリカ、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)と協定締結交渉中だ。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで