【復興に向けて 福島住民の声】 ベラルーシに学ぶ事故後の農作

福島県の大学等が連携し教育・研究・地域貢献をはかる「アカデミア・コンソーシアムふくしま」が11日、震災と原子力事故からの復興を考えるフォーラムを福島市で開いた。その中で、福島市を事業地域とする「JA新ふくしま」の菅野孝志専務が、チェルノブイリ事故で被害を受けたベラルーシへの訪問調査結果を踏まえ、福島での今後の農作をめぐり問題を提起した。

菅野氏が重視しているのは対策実施機関が一本化していること。ベラルーシでは事故後の対策を緊急事態省が全て管轄し、研究機関も拠点都市に集約させた政府の統治機能が利いているという。福島を考えるとき、県や市、組合など各機関がばらばらに動かないよう釘をさした。

調査で訪れた農地の土壌汚染はどうだったか。ベラルーシの土壌は砂のようで、日本とは全く違ったという。表土を5cm剥いでしまうと、荒野に帰するほどの痩せた土壌。ベラルーシが除染を行わない方針なのは、こうした土壌で除染に多大なコストをかけては立ち行かなくなるからだろう、というのが菅野氏の見方だ。

土壌の汚染を緻密に調べたデータに基づき、作るべき農産物を考えるというベラルーシの方針が理解できたという。菅野氏は、福島の場合も基本的にはこうした詳細調査を実施すべきだとし、汚染の実態に基づいた農業のあり方、農産物の作り方を具体的に計画することの必要性を強調した。

しかし、これらも農業者やJAだけの問題ではない。消費者や地域の人々が地域活動として展開する枠組みがあってこそ成立するとの考えだ。

さらに、命と暮らしを守る国際放射線防護総合研究センターを福島に整備することを提案し、情報や研究成果が統一的にこのセンターに集約されることが福島の復興を実現する上で重要だと訴えた。


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