年間20ミリSvを基準に 避難区域見直し 3月末目途に再編へ

政府は12月26日、福島第一原子力発電所事故収束計画のステップ2完了を受け、災害対策のために設定した避難指示区域を、3月末を目途に、年間積算線量のレベルに応じ、「避難指示解除準備区域」、「居住制限区域」、「帰還困難区域」に再編する見直しに向けた基本的考え方と、今後の検討課題をまとめた。発電所から半径20キロメートルに設定されている警戒区域については、短時間で高いレベルの放射性被ばくが生じるリスクが解消されたことから、インフラなどの安全確認・応急復旧、治安対策等、所要の準備を整え、関係自治体とも協議の上、早ければ4月の解除を目指すこととしている。

原子力災害発生により、発電所の半径20キロメートルの地域は、原則立入禁止の警戒区域に、半径20キロメートル以遠で1年間の累積線量が20ミリSvに達するおそれのある地域は、計画的避難区域に設定され、住民や地域社会にとって、大きな困難となっているところ、去る12月16日、「事故そのものは収束に至った」のが確認されたことから、政府・原子力災害対策本部では、これら区域の見直しに向け、具体的検討を開始することとした。

見直しに当たっては、(1)住民の安全・安心の確保(2)徹底した除染の実施と子供への配慮(3)インフラ復旧・雇用対策等(4)損害賠償の扱い――を共通課題に掲げ、個別課題の解決と併せながら、国として、着実に対応することとしている。また、原子力安全委員会の示す考え方の他、低線量被ばくのリスク管理に関する専門家ワーキンググループでの議論も踏まえた上で、年間20ミリSvを区域見直しの基準とした。

新たな避難準備区域は、現在の警戒区域と計画的避難準備区域を一体として見直すこととしており、3月末を目途に設定すべく、速やかに自治体などと協議を開始する考えだ。具体的には、年間積算線量が20ミリSv以下であることが確認された地域は、「避難指示解除準備区域」に設定し、当面の避難指示は継続するものの、除染、インフラ復旧、雇用対策など、復旧・復興に向けた支援を早急に実施し、段階的に避難指示を解除していく。年間積算線量が20ミリSvを超えるおそれがある地域は、「居住制限区域」に設定、除染、インフラ復旧などを計画的に実施し、線量低減が確認されたら「避難指示解除準備区域」に移行するようにする。

放射性物質による汚染レベルが極めて高く、今後5年間を経過しても、年間積算線量が20ミリSvを下回らない(現時点で同50ミリSv超)地域については、「帰還困難区域」に設定し、将来にわたる居住制限を原則とし、線引きを少なくとも5年間は固定することとしている。この地域に関しては、長期化する避難生活や生活再建のあり方、自治体機能の維持など、国として「責任を持って対応していく」ほか、不動産の取り扱いについても、県、市町村、住民らと密に意見交換を行い検討を進めていく。


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