年間20mSvの健康影響まとめ 低線量WG

長瀧重信・長崎大学名誉教授は、17日の原子力委員会で、低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループの報告書について説明した。

同WGは細野原発相の要請で(1)年間20ミリSvという低線量被ばくの健康影響(2)子どもや妊婦への配慮事項(3)リスクコミュニケーションの在り方――について科学的な見地から見解をまとめる目的で発足し、計8回の議論を行った。

報告書では、(1)年間20ミリSvの被ばくは他の発がん要因によるリスクと比べ十分に低く、除染や食品の安全管理等でリスクを回避できる水準であり、今後より一層の線量低減を目指すに当たってのスタートラインとして適切(2)高い被ばく線量では、子どもは成人よりも放射線による発がんリスクが高いことから、子どもに対して優先的に措置をとるのは適切(3)住民の目線に立って情報を提供するリスクコミュニケーションが必要であり、住民が参加した取組が不可欠――という見解をまとめた。

また、さらに(1)除染には優先順位を付け、漸進的に目標を設定すること(2)子どもの生活環境の除染を優先し、避難区域解除に当たっても校庭・園庭を毎時1マイクロSv未満とすること(3)特に子どもの食品に、適切な基準の設定し、放射能測定器を配備すること(4)政府関係者や専門家が住民と継続的に対話し、地域に密着した専門家を育成すること(5)他の発がんリスクの低減、検診受診率の向上等政策パッケージにより、20年後を目途として福島を全国でがん死亡率が最も低い県となるよう目指すこと――とする提言を加えた。

原子力委員会からは、今後の具体的な取り組みを期待する声などが上がった。


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