原子力エネ技術へ期待増大 米調査会社が米国民1000人対象に意識調査 原発増強 75%が賛成 福島事故後も安全性を確信

米国のビスコンティ研究所が昨年9月に実施した意識調査によると、福島事故から6か月が経過した後も、米国民の原子力発電に対する好意的な印象は変わっていない。同事故からの影響は確かにあるものの、1980年代〜90年代の数値と比べると依然として支持派が高率を維持。同研究所では、「産油国での紛争や歴史的な高値となった原油価格などが、同事故によって原子力発電が深刻な影響を受けるのを防いだのかもしれない」と分析している。

ビスコンティ研究所は毎年、米原子力エネルギー協会(NEI)の委託を受けて原子力に対する米国民の意識調査を実施している。昨年は9月22日から24日までの間、1000名の成人を対象に原子力に対する見解を電話で聴取。誤差範囲はプラスマイナス3%ほどである。

米国では現在、31州で104基の原子炉が稼働中。これらの総設備容量が米国全体の発電設備に占める割合は10%程度なのにも関わらず、発電シェアは20%に達するなど、米国における原子力発電の貢献度は非常に高い。こうした背景から、米国で原子力を支持する人の割合は毎年60%を上回っており、2010年3月時点の調査では支持派の割合は74%まで達していた。

今回の調査結果では、全体の62%が原子力を電力供給の一方法として活用することに賛成しており、反対意見の割合は35%に留まった。原子力を強く支持する人と強く反対する人の対比では28%対13%となり、比率はほぼ2対1となっている。

福島事故後も67%が「米国の原子力発電所の安全性は高い」と評価しており、これは同事故発生前の2月に実施した全国調査とまったく同じ比率。82%の米国民が「福島事故の教訓に学び、電力需要の増大に対処できるよう原子力発電所の技術開発を継続すべきだ」との認識を示した。

また、今回の調査では安定多数の85%が「既存炉の運転認可が切れる場合、安全基準を満たしている炉の認可は更新すべきだ」と回答。7か月前の88%という結果からは確かに低下したものの、引き続き高水準を保っていた。

さらに、今回調査では「将来、もっと多くの原子炉を建設すべきだ」とする意見に57%が賛成。75%が「次の10年間に必要となる場合に備え、電気事業者は新たな原子炉を建設できるよう、今農地に準備しておくべきだ」との意見に同意している。

このほか、米国民の3分の2にあたる67%が「最寄りの原子力発電サイトで原子炉を新設してもよい」と回答。前回調査時の76%からは9ポイントの低下だが、過半数が原子力新設を支持している点に変わりはなかった。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで