ウラン生産量が過去最高レベル 加・U1社

カナダの大手ウラン生産業者であるウラニウム・ワン(U1)社は16日、2011年実績でUの生産量が過去最高レベルの1066万ポンドに増加したと発表した。民生用原子炉での需要を見込み、今後も生産地の多様化を図りつつ複数年契約で生産量の増強戦略を推し進めていく考えだ。

U1社はかつて、日本の東芝および東京電力がウラン精鉱の安定調達と経済性向上の観点から資本関係を結んでいた企業。2010年にロシアの国営アトムレドメゾロト(ARMZ)社がU1株の過半数を取得したのを契機に、日本企業は精鉱の長期的な引取権を確保した上で資本関係を解消した。その年の実績でU1社は世界全体のウラン精鉱生産量の13.2%を生産。カナダのカメコ社、仏アレバ社、カザフスタンの国営企業に次いで世界第4位に付けている。

U1社によると、昨年第4四半期のU生産量が前年同期比62%増の337万ポンドだったことから、2011年全体の生産量も対前年比45%増の1066万ポンドに拡大。売上量も過去最高レベルの990万ポンドに達したとしている。

このうち97%は、2009年に生産量で世界一となったカザフスタンの6鉱山からの生産。残りは米国と豪州の鉱山で生産しているが、同社は今後も一層、採掘地の多様化を図る方針。豪州でARMZ社が保有するマントラ社株13.9%を1億5000万ドルで購入するため、購入権の行使締め切り期日を2013年6月まで1年間延長することでARMZ社と合意したほか、アフリカのタンザニアでも鉱山権益の獲得を検討中である。

福島事故後、ドイツやスイスで脱原子力政策への逆戻りが決定したものの、インドや中国における大規模な新設計画に大きな変更が見られないほか、国によっては既存炉の運転寿命延長や出力増強を図ると見られている。

また、ロシアの核弾頭から抽出・希釈した低濃縮ウランの2次供給・年間2400万ポンドも、米ロ両国の協定終了に伴い2013年以降、燃料市場から姿を消すことから、世界原子力協会(WNA)などでは「2020年以降も需要を満たしていくには主要なウラン鉱山からの生産のみならず、新たに開発した鉱山からの生産が必要になる」との予測を示している。


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