原子力の位置付け議論 経産・基本問題委 事故調査他説明受け

経済産業省の総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会(委員長=三村明夫・新日本製鉄会長)は1日、前回に続き、原子力発電の位置付けに関する議論を行うとともに、今春までを目指すエネルギーミックスの選択肢提示に向け、今後の作業の進め方について確認した。

前回会合では、これまでに委員からあがった意見を踏まえ、原子力発電を巡る論点を整理、資源エネルギー庁より、国内外の現状に関する説明を行うなどした。今回は、福島原子力発電所事故調査・検証委員会の中間報告、原子力安全規制改革の検討状況について、それぞれの担当事務局より説明を受けた上、意見を求めた。昨年12月に同委員会がまとめた「新しい『エネルギー基本計画』策定に向けた論点整理」では、中長期的な原子力発電の位置付けに関して、事故原因、安全規制・体制、放射性廃棄物問題なども含め、総合的に検討を行う方向性を示している。

これらに対し、委員からは、原子力災害の拡大防止に関して、「事業者による、1次、2次、3次…と、あらゆる事態を想定した防災対策をしっかり立てるべき」とする化学メーカーからの指摘や、新たな安全規制組織の検討に向けては、人材育成・登用の重要性を強調する意見などがあった。また、高レベル放射性廃棄物処分の世界的な行き詰まりの状況を懸念し、「現実に起きている問題」を受け止めた上で議論すべきなどとする状況の楽観視に警鐘を鳴らす発言もあった。

また、前回会合での委員からの発言に関連し、原子炉世代ごとの技術進展に伴う事故発生頻度の低減や、フロントエンドのリスクで、ニジェールのアクータ・ウラン鉱山を例に、労働環境改善や放射線影響管理の取組などについて、資源エネルギー庁より説明がなされた。

今後、基本問題委員会では、週一程度のペースで会合を開き、省エネルギー、再生可能エネルギー、化石燃料等、順次、議論を進めていく段階で、各委員より、エネルギーミックスの全体像や実現手段、重視すべき評価軸等についての「意見照会」を求めていくこととしている。


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