ボルセラ2建設計画を保留 オランダ

オランダでボルセラ原子力発電所(=写真)2号機の建設を計画していたデルタ社はこのほど、今後2〜3年間は同計画を保留するとの判断を下した。近年の金融危機に伴う投資環境の悪化や電力市場における設備容量の超過、およびエネルギー価格の下落等により、新たな原子炉建設は実行可能な選択肢ではなくなったとの判断によるもの。今後こうした外的条件が改善され次第、同社は建設プロジェクトを復活させると強調している。

オランダでは現在、デルタ社とエナジー・リソーシズ・ホールディング(ERH)社が共同出資するボルセラ発電所1号機(PWR、51.2万kW)が同国唯一の原子炉として稼働中。デルタ社は09年6月、同発電所2号機の2018年頃の完成を目指し、認可申請手続きに取りかかると発表したが、昨年末までを予定していた申請書提出には至っていない。

同社によると、オランダ政府は原子力をバランスの取れたエネルギー供給における潜在的な一要素と位置付けており、事業者が申請書を提出すれば許可は下りる見通し。オランダ環境評価庁のように独立の立場の専門家達も原子力をエネルギー供給要素に加えるよう提唱しているという。

しかし、過去半年間で投資環境は悪化の一途をたどり、発電設備も不況に伴い過剰気味に。また、欧州圏内のCO排出量取引制度で市場参加者に支払われる取引価格などが依然として不透明な現時点では、デルタ社としても新たな原子炉建設計画に取りかかるのは難しいと判断するに至った。

ただし同社は、新たな発電設備開発への投資を諦めたわけではなく、化石燃料の輸入削減や長期的なコスト効果の高さ、大量のCO排出削減が可能という点からも原子力を不可欠のエネルギー供給要素と認識。少なくとも2020年までは新規原子炉の操業は望めないものの、その他の様々なオプションも交えて同計画の戦略上の影響を再検討するとしている。


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