保安院、ストレステスト初判断 大飯3、4号機「妥当」

原子力安全・保安院は13日、関西電力の大飯発電所3、4号機(PWR、各118万kW=写真)の安全性に関する総合的評価、いわゆるストレステストの1次評価に対する審査結果を取りまとめ、同日の原子力安全委員会臨時会議で報告した。同院から安全委に対し、審査結果が上がるのは、これが初めて。

大飯発電所の2基について、福島第一発電所が被ったような地震・津波が来襲しても、事故には至らぬよう対策が講じられているとともに、事業者による安全性向上への改善努力に一定の評価を示す一方、要員召集体制など、対策強化の必要も指摘している。

昨年7月11日に、官房長官、経済産業相、原発担当相による原子力発電所の安全性確認に関する統一見解、いわゆる「3大臣ペーパー」では、定期検査中で起動準備の整ったプラントに対して実施する1次評価は、運転再開の可否について判断するものとして位置付けられている。今回の保安院による審査結果の取りまとめは、今後、安全委員会による審査に移ることとなるが、大飯3、4号機にとって、再稼働に向けた最初の関門通過となる。

安全委員会は、「3大臣ペーパー」公表に先立つ7月6日、同委設置法に基づき、福島事故を踏まえた既設原子力発電所の安全性に関する総合的評価の実施・報告を経産相宛に指示し、ストレステストの実質的開始となった。これを受けて、10月28日に、事業者による報告第1件目として、関西電力の大飯3号機、11月17日には第3件目として同4号機の各1次評価結果が保安院に提出された。

審査は、大飯3、4号機とも、立地環境や原子炉型式が同じであるため、ほぼ並行で行われ、両機セットでの報告書取りまとめとなっている。評価結果では、当初の設計想定より、津波で9.5m高、地震で1.8倍の来襲があったとしても、炉心燃料を損傷させない対策が取られており、道路損壊やがれき、夜間の召集などの過酷な条件にも耐えることを確認したほか、外部からの支援がない場合にも、所内の備蓄資材だけで7日間維持可能などと評価している。

また、審査では、関西電力がストレステストを実施する上での品質保証体制について、適切と評価している一方、要員召集体制の強化や免震構造の緊急時指揮所設置などを、「一層の取組を求める事項」として指摘しているほか、地震に関しては、内陸地殻内の活断層の連動性についても検討を行い、2月中に報告することを求めている。

今回評価結果を受けて安全委員会では、外部有識者による検討会を近く始動し、内容を確認し、できれば3月中にも結論を出すことをめざす。


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