仏安全当局が設計審査実施 ATMEA1の安全性保証

仏原子力安全規制当局(ASN)は7日、仏アレバ社と三菱重工業の合弁会社であるアトメア社が開発した第3世代プラスの原子炉「ATMEA1」について、安全設計は妥当であるとの見解を表明した。

同設計はヨルダンが初めて導入する原子炉の候補設計の1つで、アトメア社はすでに昨年中に技術提案書と財務提案書を同国原子力委に提出済み。同社はATMEA1が仏国の安全規制と技術的要件を満たしていることが確認されるとともに、地震や洪水、大型航空機の衝突等からも重要機器が保護されることが明確になったと歓迎。ヨルダンのみならず世界各地での建設に向けて重要な一歩になったと強調した。

出力110万kW級の中型PWRであるATMEA1はMOX燃料のフル装荷も可能で、アトメア社としては最新の規制と国際的に最も厳しい安全要件に基づいて設計。福島事故で起きたような過酷で極端な事象にも対応可能となるよう考慮しており、今回の審査により現状の設計を変更する必要がないことが確認されたとしている。

アトメア社は2009年にATMEA1の基本設計が完了したのを受け、翌10年にASNに安全設計審査を要請。建設申請等を承認する性質のものではないが、ASNは仏国内での基本的な設置申請と同一の条件で審査を実施した。2つの諮問委員会――原子炉委員会(GPR)と原子力圧力機器委員会(GPESPN)――から意見を聴取するとともに、国内の技術支援機関である放射線防護原子力安全研究所(IRSN)と緊密に協力し、18か月に及んだ審査作業を昨年11月に完了していた。

同設計の安全性を保証したASNの今回の結論は、同設計の実際の申請承認手続きに先立つ予備的見解となる。詳細設計段階での留意点としてASNは、従業員の被ばく線量最適化に具体的な配慮が必要だと指摘。特定の事故や特定の配管破断の発生可能性を実質的に排除するようアトメア社に促すとともに、福島事故からの教訓は今後も継続して取り入れねばならないと指示している。


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