耐性検査の評価開始 「再稼働は政府の責任」 安全委が確認方針を決定

原子力安全委員会は20日、関西電力・大飯原子力発電所3、4号機の安全性に関する総合的評価、いわゆるストレステスト(耐性検査)の原子力安全・保安院が行った1次評価について、安全委として初めて再チェックするに当り、「発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する原子力安全委員会の行う確認に係る方針」を決めた。

東京電力・福島第一原子力発電所の事故を踏まえた緊急安全対策がどこまで安全性を高めているかを評価するための確認方針で、21日から検討会で審議を開始するに当って、取りまとめたもの。

同方針では、設計上の想定を超える地震・津波などの外部事象に対する発電用原子炉施設の頑健性の把握を「確認の主旨」としている。

確認の視点としては、(1)各防護対策と多重防護の考え方との関係(2)シビアアクシデントに至るシナリオの設定および各防護対策の有効性と限界の把握についての考え方(3)内的事象および地震・津波に関する確率論的安全評価(PSA)等の知見や決定論的手法等の解析手法の活用の考え方(4)運転状態の想定についての考え方──を挙げている。この他、最新知見の反映、発電用原子炉施設の特徴を踏まえた確認、安全性向上等に対する今後の継続的な取り組みなどについても確認するとしている。

委員会後、記者会見した班目春樹・原子力安全委員長は、同方針に、あえて「なお」書きで、「原子力安全委員会の行う確認は、原子力発電所の運転再開の可否の判断を行うものではない」と記述を盛込んだ点について、「そもそもこの総合的安全評価というものと、プラントの稼働の可否の判断とは無関係なものだというのが、原子力安全委員会の理解だ」と述べ、あくまでプラントの再稼働の可否については原子力安全・保安院の責務であり、さらに地元意見、関係大臣の政治判断となることを強調した。


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