自民党エネ特命委が中間報告 向こう10年で方向性決める 原子力、中長期的観点から議論を

自由民主党政務調査会の総合エネルギー政策特命委員会(委員長=山本一太・参議院議員)は15日、中間報告を発表した。

同党は原子力政策を推進してきたが、安全神話に依拠しすぎてしまった結果、福島原子力発電所事故を招いてしまったとして深く反省し、事故の原因解明と教訓を活かすことが全世界に対するわが国の責務であると強調した。

エネルギー政策の見直しの重要ポイントとしては、(1)省エネルギー推進や新エネルギー活用など原子力以外のあらゆる可能性を検討し追求する(2)エネルギー情勢の先行き不透明な中でいかなる事態・状況に対しても柔軟かつ機動的に対応できるような多重のエネルギー対策を行う(3)原子力発電は、安全性確保と地元の理解を前提として短期的な必要最小限の電力量をまかなうべく活用する一方、向こう10年を「原子力の未来を決める10年」として原子力利用について議論し中長期的な観点から結論を出す――ことを挙げた。

原子力政策については、中長期的に原発の新規立地を積極的に進めることは困難であり、動向を見極めつつ原子力の利活用や研究をどのように続けるべきかについて検討が必要だとした。

今後の原発立地地域対策については、立地地域の特色に沿った対応を具体的に検討すべきとした。

核燃料サイクル開発については、エネルギー供給の観点と純粋な研究開発の観点の双方から議論し、推進を続けるか早急に結論を出すとしている。

使用済み核燃料廃棄物および高レベル放射性廃棄物処理について、処分場選定の困難さと原発内プールでの貯蔵の限界を考え、「ドライキャスク」等の新しい技術などで安全かつ確実な方法で処理すべきとした。

国際貢献においては、福島原子力発電所事故の反省と教訓を活かし、技術面や人材面で協力していくことが重要だとした。

同委員会は今夏の最終報告に向け、「原子力政策のターニングポイント及び過去の政策決定過程に関する検証チーム」と「核燃料サイクル、放射性廃棄物処理の歴史に関する検証チーム」を設け、日本のエネルギー基本政策、特に、将来の需給構造のあり方について具体像を取りまとめていく見通しである。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで