福島事故受け、専門家の意見聴取 「高経年化の影響なし」 原子力安全・保安院

原子力安全・保安院は16日、福島第一発電所事故を踏まえ、分野ごとに実施してきた専門家による意見聴取会の検討結果を取りまとめ、同日の原子力安全委員会で説明した。

このほど、検討結果を取りまとめたのは、事故の技術的知見、地震・津波、建築物・構造、高経年化技術評価にそれぞれ取り組む4つの意見聴取会で、いずれも11年9〜11月に始動し、これまで、現地調査、合同会議なども行いつつ、技術的課題に取り組んできた。

事故の技術的知見については、現時点までに判明している事実関係を分析し、技術的課題を整理することを目的に検討を進め、外部電源、所内電気設備、冷却・注水設備、閉込機能、管理・計装設備の5分野について、30項目の対策を「中間取りまとめ」として提示した。

地震・津波の評価では、海溝型地震、内陸地殻内地震、津波の重畳効果に関する新たな知見を掘り起こし、これらを通じ、原子力施設の耐震安全性に係る信頼性の向上を図るよう求めている。

建築物・構造に関する検討では、福島第一・第二発電所の原子炉建屋等への影響・評価を行った。

また、高経年化技術評価では、炉心損傷に至った1〜3号機の運転開始からの年数が最長40年であることから、同3基について、保守的に60年までの経年劣化の影響を考慮し、安全上重要な設備が、地震により機能を失う影響があったかを評価した結果、「事故の発生・拡大の要因となったとは考え難い」などと結論付けている。

班目春樹・安全委員長は、会議終了後の記者会見で、保安院が取りまとめた技術的知見に関する30項目について、「全体としての体系」の中で、整理し直す必要を述べるなど、実効性あるものとしては、まだ検討不十分な段階にあることを示唆した。


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