福島第一・中長期ロードマップ状況 「冷温停止状態を維持」

福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置実施の中核となる「政府・東京電力中長期対策会議」は2月27日の「運営会議」で、中長期ロードマップの進捗状況を取りまとめた。

中長期ロードマップは、福島第一1〜4号機の安定状態達成以降、続く廃止措置に向けて、時期的目標、作業工程を進める判断ポイント、実施体制などを取りまとめたもので、政府が責任を持って遂行する考えから、経済産業相と原発事故担当相を共同議長とする「政府・東京電力中長期対策会議」のもと、「運営会議」で進捗管理が行われる。

今回、取りまとめられた進捗状況では、2号機原子炉圧力底部温度で一時、計測値に上昇がみられたものの、温度計の故障が原因と判明、1〜3号機の原子炉圧力底部温度は2月26日現在、いずれも安定しているほか、格納容器内圧力や格納容器からの放射性物質の放出量等のパラメータについても有意な変動はなく、「総合的に冷温停止状態を維持」としている。

今後の取組としては、2号機で、前回1月の実施に続く2回目の原子炉格納容器内部調査を計画しており、滞留水の水位・水温を確認し、原子炉設備の安定冷却が維持されていることを再確認するほか、新たにPCV内雰囲気線量を測定、今後の取組に資する基礎データを取得し、調査結果を踏まえ、1、3号機の内部調査も計画していくこととしている。

また、今後の燃料取り出しの検討に向け、同機では、原子炉建屋オペレーティングフロアでの作業を見据えて、遠隔操作ロボット「クインス」(=写真上)を使用した状況調査も進みつつある(4面に撮影画像)。

この他、処理水に含まれる放射性物質濃度をより低く管理するための「多核種除去設備」の導入、処理水受けタンクの約4万トン分増設、汚染水拡大防止対策として、5、6号機側へのシルトフェンス追加設置などが計画されている。また、作業安全確保に向けた取組では、ドクターヘリによる傷病者の搬送、東京電力本社の健康相談窓口開設などがある。

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「運営会議」に引き続き、ロードマップの研究開発プロジェクトの進捗管理を行う「研究開発推進本部」会合も行われた。

同会合では、東芝と日立GEニュークリア・エナジーから、モックアップ設備を用いて、遠隔操作機器・装置の技術実証などを実施し、実機工程での確実な遂行を支援する「研究開発拠点」構想が、日本原子力研究開発機構からは、ニーズに応じた放射性物質の分析施設の技術的検討状況が発表された。

また、燃料デブリ取り出し準備のための機器・装置開発については、国内外の優れた技術を広範に取り入れていく考えから、技術シーズを広く募集し、「技術カタログ」を作成することを確認した。24日に経産省内で開かれた関連のワークショップには、200名超の参加者があった(=写真下)。


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