規制のあり方など聴取 国会・事故調 米専門家招へい

国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)が2月27日、第5回会合を参院議員会館講堂で開き、今回の事故についての世界の評価、原子力規制組織のあり方および第三者委員会の重要性などについて、政府の事故調でも意見を述べた米国元原子力規制委員会(NRC)委員長のリチャード・A・メザーブ氏から意見などを聞いた(=写真)。

2001年の9・11テロ勃発時のNRC委員長だったメザーブ氏は、規制機関の要件として、(1)責任の範囲(2)独立性(3)法的権限(4)高度な技術や法的知識の権能(5)透明性・公開制(6)リスク・マネジメントなど規制のアプローチの重要性──を挙げた。

特に、同氏は、緊急対応に関して、「明確な指令系統を事前に決定し、責任委譲も可能にしておくこと」の重要性を指摘したほか、「だれがどんな責任を持つのか、何ができ、何ができないのかを決めておくべきだ」などと述べた。

さらに、1979年の米TMI原子力発電所事故の経験にも触れながら、「規制を守れば安全が保たれるということはなく、脆弱性がある。安全に自らが関心を持ち、互いに監視することが大事」であり、米国では原子力発電運転協会(INPO)が設立された、とも述べた。

また、「大きな事故の発生によって、もっと深く考えなければならないという“気づき”が生まれ、事業者が適切に診断・管理するようになった」とし、定期的な訓練の充実も必要だ、と指摘した。

ただ同氏は、国際機関による規制や米国でのテロ攻撃対策などについて、「米国のやり方のようにやればいいと思ってほしくない。日本には日本のやり方があるはずだ」と付け加えた。


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