世界最古、44年間稼働 英国オールドベリー1を閉鎖

稼働中原子炉の中では世界最古だった英国のオールドベリー原子力発電所(=写真)の1号機(GCR、23万kW)が2月29日に44年間の営業運転に終止符を打った。

世界の原子力発電開発の歴史の中でもパイオニア的存在であるコールダーホール型(マグノックス)炉をベースに、同発電所の双子ユニットが運開したのは1967年8月のこと。大戦後、英国では天然ウランを燃料とするこれらの黒鉛減速、炭酸ガス冷却方式の原子炉が11サイト・26基建設され、オールドベリー原発は初めて商業規模の運転を開始した。

その閉鎖により、11サイト中、すでに10サイト・24基のGCRが閉鎖されたことになり、残すはアングルシー島にあるウィルファ発電所の2基(各56.5万kW)のみ。しかし、ガス炉路線を変更せずに原子力開発を続けた英国では、現在もGCRを改良したAGRが主流で、7サイト・14基が稼働中。軽水炉はサイズウェルBの1基(125万kW、PWR)だけである。

オールドベリー発電所を所有する原子力デコミッショニング機構(NDA)は当初、同発電所の2基を2008年末に閉鎖する予定だったが、国内経済の状況変化とともに電力料金が上昇したことから、これら2基の安全性改善に投資した上で運転寿命を延長する方が経済的に適切と判断。2年間の運転延長を決めた。 その後、2号機を2011年6月に閉鎖する一方、1号機の運転は最終的に合計3回延長。NDAと同発電所の運転会社、原子力規制当局は昨年11月、「これ以上の運転継続は経済的に見合わなくなる」とし、2月末付けで閉鎖する方針を公表していた。

これら2基がこれまでに発電した電力量は1375億kWhで、100万世帯が20年以上使用するのに十分な量。運転期間延長後の発電量だけで74億kWhに達しており、3億5000万ポンドの料金収入につながったとしている。

NDAは今後、同サイトで燃料の取り出しなど本格的な廃止措置や浄化作業を実施予定。隣接区域では政府の原子炉新設計画にともない、ドイツのRWE社とE・ON社の合弁企業による建設計画も浮上しており、滞りなく進展すれば、昨年末に政府から暫定設計承認を与えられたウェスチングハウス社製AP1000か仏アレバ社製EPRの建設サイトとして生まれ変わることになる。


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