昨年に約2万トンのウラン生産 カザフスタン

カザフスタンの国営原子力企業であるカザトムプロムはこのほど、2011年の操業実績(速報値)を発表した。ウラン生産量が約2万トンに達するなど、2009年にカナダを抜いて世界第1位に躍り出て以来、主導的な地位を維持。これに加えて、新たな燃料製造工場の建設等、燃料サイクルのフロントエンド部分で事業の多様化を進めるなど、野心的な戦略を展開している。

世界原子力協会の記録では、2010年実績で1万7803トンを生産した同国だが、11年の生産量はこれを9%上回る1万9450トン。世界全体の生産量である5万5400トンの約35%を占めるまでになった。同社によると、このうち1万399トンが世界の稼働中原子炉に長期契約で供給されており、世界全体の原子炉所要用の17%をカザフスタンが賄っている計算。2011年中はこれら既存契約に加えて、仏電力や米国の複数のエネルギー企業とも新規契約を結んだとしている。

こうした成果の理由として、カザトムプロムは同年中に複数のウラン鉱山で新たな生産関連活動が始まったことを挙げた。すなわちセミズバイ鉱山の第2サイトで年間200トンの生産能力が追加されたほか、ブデンノフスク第2サイトでは原位置抽出法(ISL)で能力を3000トンまで増強。同第3サイトで1000トン分の採鉱設備建設が始まったのに加え、ハラサン第2サイトでも管理事務所と居住区の建設が開始されている。昨年12月には、クズロルダ州でISLに不可欠な硫酸供給施設の起動前テストが実施されており、今年中にも本格的な操業を開始する見通しだ。

カザトムプロム社はこうした事業の多くを外国企業との合弁で進めており、11年は原子炉用燃料製造で外国企業と新たな合意に達している。具体的には、アレバ社との協力でウルバ冶金工場に燃料集合体製造ラインを設置することになったほか、中国核工業集団公司(CNNC)とは戦略的協力協定を9月に締結し、その枠組で試作した燃料ペレットを納入。12月には燃料ペレットの製造・供給で中国広東核電集団有限公司(CGNPC)と長期契約を締結した。

このほか日本企業との協力では、レアアースを含むレアメタル製品製造のため、9月に東芝と合弁事業体を設立。今後もレアアースの回収・販売、供給源の新規探査で協力していく。住友商事とは、2010年にウラン鉱残渣を活用したレアアース回収事業で設立した合弁会社が試験プラントの建設を開始した。


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