議事概要公表される 原災対策本部他

政府の原子力災害対策本部および政府・東京電力統合対策室(旧福島原子力発電所事故対策統合本部)の議事概要がこのほど公表された。

いずれも事故発生から緊急時対応で多忙だったことなどから、いままで作成がなされておらず、記者会見で、その一部が公表されていたのみ。枝野・現経産相による公文書管理法に基づいた議事録作成の指示が1月に出され、各省庁関係者が作成していた議事メモや大臣発言要領などを収集・整理して、3月1日時点で整備したもの。

第1回原子力災害対策本部(本部長=菅直人首相=当時)は、事故発生当日の昨年3月11日、首相官邸の4階大会議室で緊急災害対策本部の後、午後7時3分から19分間開かれた。連続開催のため、本部員以外の閣僚も同本部に出席し、本部員ではないが班目春樹・原子力安全委員長も出席した。

そこでは、原子炉は制御棒が挿入され停止し、外部電源喪失で非常用電源が立ち上がったが、その後、津波で停止、全電源が喪失、現在、冷却できない状況に陥っていること、電池で動く冷却などだけが動いているが、8時間しかもたないことなどが報告された。そのため、8時間を超え炉心の温度が上がるようなことになると、「メルトダウン」に至る可能性もあることから、「陸路および空路でディーゼル発電機の代わりになるものを輸送中」などの状況が書かれている。

また、発電所外部への放射性物質の漏洩の情報はその時点では確認されておらず、「直ちに特別の行動は不要」としているものの、「10キロメートル範囲の人をどこかの時点で避難させる必要があるかも知れない」などの議論も行われている。

その後、菅首相が北澤防衛相に原子力災害派遣を要請、8トンの電源車を空輸するためには大型ヘリコプターが必要で、米軍に依頼する可能性や米国大使からの「オファー」もあったことなども記載されている。

これらの結果、福島県と大熊、双葉、浪江、富岡の4町と福島第一原発から半径10キロメートル圏内の海域に対して、原子力災害対策特別措置法に基づく指示として、「放射性物質による外部への影響は確認されておらず、現時点で、直ちに特別な行動を起す必要はないものの、防災行政無線やテレビ、ラジオなどによる情報に注意し、新たな指示が出された場合は、その指示に従うよう、区域内の住居者などに対して周知されたい」、との内容が公示された。

現場では、非常用炉心冷却装置での注水不能事象が同日16時36分に発生したとして、「原子力緊急事態宣言」の発令に至ったなど、原子力災害発生直後からの政府中枢での議論の経緯が公表されている。


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