SMR開発支援に4.5億ドル 米オバマ政権の重要エネ戦略

米エネルギー省(DOE)は22日、米国製・小型モジュール式原子炉(SMR)の開発と商業化促進のため、連邦政府は4億5000万ドルの財政支援を提供すると発表した。オバマ政権のエネルギー戦略における重要施策の1つとして、5年計画で2つのSMR設計のエンジニアリング、設計認証および許認可を支援していくのが目的。新興国等の原子力導入計画でロシアや韓国が積極的に受注攻勢をかけるなど海外展開に本腰を入れるなか、米国も独自に開発・製造したSMRで輸出の機会を得るとともに、世界のクリーン・エネルギー・レースにおける競争力強化に力を入れるとしている。

この日、オハイオ州立大に赴いたオバマ大統領は、米国が総力を挙げて推進すべきエネルギー戦略について演説。その中で、風力や太陽光などのほかに「我々は一層小型で安全、クリーンで安い次世代原子炉を建設できる」と指摘した。DOEのS.チュー長官も、SMR開発への支援等を通じて国内の原子力産業を復活させ、米国を先進的な原子力技術・製造のリーダーとすべく、民間企業と協力していくとの抱負を述べた。

すでにDOEは今年1月、産業界とのコスト分担で進めるSMR開発に関する資金提供公募(FOA)案を公表しており、今回、政府の具体的な負担分を示したもの。議会での予算審議により充当されることになる。2022年の営業運転開始を目指し、米原子力規制委員会から認可取得が見込める有望なSMR設計2件について、FOAの最終案で提案を募る予定。少なくとも50%を産業界が手当てすることから、最終的な投資額は9億ドルに達する見通しだ。

DOEは100万kW級となるボーグル3、4号機の建設計画に対し、2010年に約80億ドルの政府融資保証を適用。米国内で30年ぶりとなる原子炉の新規建設に道筋をつけた。一方、工場で製造・組立後、サイトまで輸送すれば、すぐに発電出来るSMRの利点を重要視しており、建設費や工期の縮減、大容量の送電線が来ていない地域や需要が小規模な地域への設置で柔軟性のある対応が可能だと強調している。


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