米規制委が2件目のCOL発給サマー建設計画、本格着工へ

米原子力規制委員会(NRC)の委員5名は3月30日、サウスカロライナ州のバージル C.サマー原子力発電所2、3号機(各PWR、110万kW)建設計画への建設・運転一括認可(COL)発給を4対1で承認した。2月にボーグル3、4号機建設計画に対して初めてCOLを発給したのに続くもので、NRCはサマー建設計画の安全性と環境影響に関するNRCスタッフの審査結果を適切と判断。COLは同日、申請会社であるサウスカロライナ・エレクトリック&ガス(SCE&G)社および地元・州営電力会社のサンティ・クーパー社に発給されており、2016年と17年の両炉の完成を目標に、本格的な建設工事が開始されることになった。

票決ではボーグル計画の時と同様、G.ヤツコ委員長ただ1人が、福島後のさらなる安全対策実施を命じる要件が必要だとして反対票を投じた。同委員長は「新たな原子炉建設では福島事故の教訓で見直された新しい要件の採用が直ちに義務付けられるべきだ」と主張。結果的に反対票を投じたものの、このような論点のいくつかに関しては他の委員らからも意見の歩み寄りが見られたとしている。

こうした背景から、サマー計画のCOL発給には2つの条件が付された。すなわち、(1)炉内の水位が一定以下になった際、重力で冷却水を注入できる爆破弁の検査・試験を義務付ける(2)電源喪失を引き起こす深刻な自然災害への対応戦略を策定する――である。NRCはまた、使用済み燃料プールに信頼性の高い計測器の設置を義務付ける指令と、緊急時の従業員配置に関する情報の提供要請をCOL発給と同時にSCE&G社らに伝えるよう同委の「新原子炉局」に指示した。

SCE&G社とサンティ社は2008年3月、サマー原発サイトにウェスチングハウス(WH)社製AP1000×2基の建設を想定したCOLをNRCに提出。同委の原子炉安全諮問委員会(ACRS)は独立の立場で同計画の安全性と最終安全評価報告書(FSER)を審査し、昨年2月に結果をNRCに提出した。NRCはまた、昨年4月に環境影響に関する審査を終えて環境影響声明書(EIS)の最終版を発行。その2日後にはFSERを発行していた。

なお、これらに続く新設計画として、NRCは同様にAP1000の建設を想定したレビィ・カウンティ1、2号機建設計画のCOLを審査中。FSERについては現在、ACRSが審査を進めている一方、EISに関してはまだ案文へのコメント募集段階であるため、年内のCOL発給は不透明な状況である。

また、これまでに米エネルギー省(DOE)が政府の融資保証適用を認めた建設計画はボーグル1件のみ。政府から財政支援が得られるか、地元州政府等から建設期間中の財政コスト回収が認められない限り、大型原子炉の新設実現は実質的に難しいとの見方も依然として有力だ。


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