大飯 判断基準に「概ね適合」 4大臣会合で議論進む 今夏需給見通しも含め判断

原子力発電所に関する4大臣による会合の第4回目が9日、首相官邸で開かれ、前回6日の会合で取りまとめた再起動に当たっての判断基準に対し、関西電力が政府に提出した大飯3、4号機の安全性・信頼性向上のための実施計画について検討を行い、「判断基準に照らして概ね適合」していることを確認した。会合では、資源エネルギー庁より、原子力発電所を稼働しない場合の関西電力管内における今夏電力需給の見通しについて説明を受け、今後、稼働の必要性も含め、さらに議論することとしている。

藤村修官房長官は、9日の記者会見で、夏の電力需給については、「4月の終わり頃にはキチッと整理する」とした上で、「(再稼働は)単に電力需給ということだけでなく、日本経済や国民生活にどういう影響があるか、4大臣会合で総合的に判断する」などとして、慎重に検討していく姿勢を示した。

4大臣会合が6日に取りまとめた原子力発電所再起動に当たっての安全性に関する判断基準ではまず、政府・事故調査委員会や原子力安全・保安院の専門家意見聴取会によるこれまでの調査・検証の結果を踏まえ、福島事故の原因および事象の進展に関する「基本的な理解」を示しており、「安全上重要な設備・機器が津波や浸水という共通の要因により同時に機能喪失したところに大きな問題があった」と分析し、一方で、地震の影響については、「安全上重要な設備・機器が安全機能を保持できる状態にあった」と推定している。

判断基準は、基準1「全電源を喪失しても事態の悪化を防ぐ安全対策の実施」、基準2「福島事故並みに想定値を超えた地震・津波に襲われても燃料損傷に至らないことの確認」、基準3「事業者によるさらなる安全向上策の期限付き実施計画、新規制への迅速な対応、自主的な安全確保の姿勢」の3つに大別されており、保安院の意見聴取会が2月にまとめた福島事故の技術的知見から得られた30の対策に呼応するものとなっている。

関西電力が提出した大飯3、4号機における安全性・信頼性向上対策の実施計画によると、判断基準1、2については、福島事故を踏まえ、国により指示を受けた緊急安全対策、ストレステストの1次評価として、それぞれ実施、確認が済んでいるとしており、その上で、自主的取組も含めた(1)外部電源(2)所内電気設備(3)冷却・注水設備(4)格納容器破損・水素爆発(5)管理・計装設備――に関する中長期的対策を、基準3に対応するものとして整理した。例えば、所内電源の機能喪失防止のため、専用建屋を持つ恒設非常用発電機を、炉心が損傷した際にも、放射性物質の放出を低減するよう、フィルター付ベントを、それぞれ15年度までに設置することとしている。また、事故時の対応指揮の強化に向け、免震事務棟のしゅん工時期を前倒しし、15年度までに運用開始できるよう整備する。

これら安全性・信頼性向上計画と合わせて、4大臣会合に示された関西電力管内の夏季需給見通しによると、原子力発電所が稼働しない場合、11年並みの需要・節電で7.6%、10年並の猛暑となると19.6%、それぞれ電力不足が見込まれるとしている。


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