廃棄物は国の責任で 双葉地方町村会 首相に緊急要望提出

福島事故で大きな放射能被害を受けている福島県の双葉地方町村会(会長=井戸川克サ驕E双葉町長)は3日、佐藤雄平知事と共に首長がそろって首相官邸を訪れ、野田佳彦首相に「原子力災害に係る緊急要望」を提出した(=写真)。

提出に当って佐藤知事は、「国の政策に沿って原子力を受け入れ、被害にあったのであり、将来に向けた明るい国家的プロジェクトとしての対策・対応を行ってほしい」と要望した。

井戸川会長は1年経ってもいまだ双葉郡8町村で約7万人が避難生活を余儀なくされている現状を訴え、「日を追って住民は弱ってきている。先の希望が見いだせず、年寄りは避難先にこのままいたくない。若い人達は就労などに不安が大きい。希望の持てる施策を行って欲しい」と伝えた。

これらに対して野田首相は「しっかり真摯に受け止めさせていただき、各省と連係して対策を取っていきたい」と答えた。

要望では、「損害賠償をはじめ、除染やインフラ復旧等の進め方が明確に示されておらず、避難住民や自治体が将来の見通しを立てられない状況にある」と訴え、「住民や自治体の1日も早いふるさとへの帰還に向け、迅速かつ柔軟な対応を要望する」とし、以下の10事項を挙げている。

▽3月10日に開催された「双葉地方町村、福島県と国との意見交換会」で要望した「双葉地方としての主な課題」に対する国の考えの明確化と丁寧な説明

▽原子力発電所の安全確保

▽避難指示等区域の見直しに伴う必要な措置として、(1)見直しの基礎となる放射線量のデータは精度の高いものを使用すること(2)防犯・防火体制の確立や住民等の立ち入りに伴う安全確保に万全を期すこと

▽県土の除染では、(1)本格除染の速やかな実施と区域内で発生するすべての放射性物質に汚染された廃棄物について、国が責任を持って処分すること(2)農地や森林はかけがえのない財産であり、しっかりとした除染を行うこと(3)除染モデル実証事業の結果公表と、市町村ごとの具体的な除染実施計画を早急に示すこと

▽損害賠償の対応では、避難住民に混乱や不公平が生じないよう配慮し、被害の実態に見合った十分な賠償が最後まで確実に迅速になされるようにすること

▽医療・福祉の確保では、(1)帰還までの間、医療費、介護保険の本人負担分、食費、居住費、国民健康保険税・介護保険料等の全額免除に対する国の財政支援の継続(2)市町村の財政負担に対しても必要な措置を行うこと(3)不足している医療従事者、福祉・介護職員の確保

▽産業の再生と雇用の確保については、帰還する事業者の事業再開に向けた支援策、新産業を創出するための思い切った支援策、雇用の確保

▽災害救助法の適用延長による住居の確保

▽高速道路の無料化対象インターチェンジについては、避難住民の居住実態を踏まえた範囲の決定

▽交通安全施設の復旧


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