ロシア チェコ計画の受注に備え 地元企業と協力覚書

ロシアの総合原子力企業ロスアトム社のマーケティングを担当するルスアトム・オーバーシーズ社はこのほど、チェコのテメリン原発3、4号機完成計画の受注に備えて、チェコとスロバキアの企業10社と協力了解覚書(MOU)を締結した。

同建設計画ではロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社がロシアのギドロプレス社、チェコのスコダ社と企業連合を組んで入札に参加。ウェスチングハウス社、仏アレバ社とともに、昨年10月にチェコ電力から詳細な入札招請書を受け取っている。

ロシアはその際、潜在的な機器供給業者となる地元企業15社とすでに同種の覚書を締結。これらのチェコ企業はロシアがテメリン計画を受注した場合、自動的に下請け企業としてテメリン3、4号機の機器製造やサービスの提供に加わるのみならず、ロスアトム社が世界中で展開するその他の原発プロジェクトにも関わっていくことになる。

ルスアトム社によると、ロシアは現在、国外九か国で21基分の建設計画に携わっており、チェコとスロバキアの原子力産業界には長期的なビジネスの機会をオファー。チェコでは特に、機器製造や人材育成に大がかりな投資をすることなく直ちに供給チェーンの構築が可能だと指摘した。

また、こうした原子炉計画のために、ロシアは2030年までに総額3000億ドル以上の機器・サービスを購入予定だが、インドに提供したクダンクラム原子力発電所の2基については、すでに9社のチェコ企業が5800万ドル相当の弁やポンプ、ケーブル等を供給していたことを明らかにした。

なお、テメリン3、4号機用の設計として、ロシアとスコダ社の企業連合は第3世代+の100万kW級PWR「近代化国際原子炉(MIR)1200」を提案中だ。ロシアの主力輸出設計である120万kW級のVVER(ロシア型PWR)「AES―2006」をベースとしており、安全系に受動的および動的システムを採用し、格納容器内には水素除去系やコア・キャッチャーを装備。スコダ社によると欧州の規制基準をすべて満たしているほか、着工から完成まで54か月以内の作業を保証。負荷追従運転が可能で、想定稼働年数は60年までとなっている。


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