2年ぶり原産年次大会 東京で開幕 福島の復興願い、今後の道筋問う 安全対策、抜本的に強化し 「原子力発電は不可欠」

日本原子力産業協会の第45回原産年次大会が18日、東京国際フォーラムで開幕した。福島事故の発生から1年、「再生への道筋を問う──Think Globally,Act Locally」を基調テーマに、19日までの2日間、世界各国からの代表も集め、原子力安全のさらなる向上と、今後の世界や日本のエネルギー政策について、活発な意見・情報交換を行う。「福島の復興なくして日本の原子力の将来はない」(今井敬会長)との思いを胸に、今後、日本が目指すべき方向性を探る。

開会に当たり今井敬・原産協会会長は所信表明を行い、昨年3月の東京電力・福島第一原子力発電所の事故により、いまだ多くの人々が避難生活を余儀なくされていることについて、「原子力の平和利用を推進してきた立場の者として、心からお詫びしたい」と陳謝し、「1日も早い被災地域の復興と、避難されている皆さんの帰宅を心よりお祈りする」と述べた。

今井会長はさらに、「今後、世界のいかなる場所においても、また、いかなる天変地異があろうとも、再び同様の事故が発生することのないよう」に、安全対策の徹底と透明性の一層の向上を図り、「失われた信頼の回復に努めなければならない」と強調した。

その一方で同会長は、原子力発電所の再稼働について「安全性が確認されたものについて、国が前面に出て、周辺地域をはじめ国民の理解を得た上で、速やかに再稼働していくべきだ」との考えを示し、今後のエネルギー政策についても「原子力発電は引き続き一定の役割を担っていく重要なエネルギー源であり続けると信ずる」と強調した。

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特別講演で政府の方針を述べた細野豪志・原発事故担当相は、「日本のエネルギー政策が、あらゆる面で岐路に立っているのは間違いがない」と述べた上で、「政府および事業者が今回の事故を真摯に反省し、懸命に努力していかなければならない」と指摘した。

その一環として現在、政府が国会に提出している原子力規制庁の設置について、野党案(=下段記事)が提出される方針が示されていることに対して、細野大臣は「組織の独立性については双方とも同様であり、野党案にも真摯に耳を傾け、柔軟な対応をしていきたい」とし早期成立を目指す考えだが、「委員会の合議制では、原子力事故の危機を乗り越えていけるのか、野党と話し合っていきたい」と語った。

さらに同大臣は、米国のTMI原子力発電所事故を契機に1979年設立された原子力発電運転協会(INPO)を例に、「日本も事業者による自主的で継続的な取り組みをぜひ求めていきたい」と強調した。

海外からはウクライナ、ポーランド、ロシア、米国などの代表が講演し、福島事故後、さらなる安全確認は行ったものの、エネ供給や地球温暖化対策などで原子力推進に変化がないことを強調した。

[原産年次大会]前回の44回大会は四国・松山で開催予定だったが、直前の3月に福島原子力発電所事故が発生して急遽中止となったため、島根県・松江市で開いた43回以来、2年ぶりの開催。世界36か国・地域、3国際機関からの114名を含め、国内外から約900名が参加した。


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