国内産業の売上高など 福島事故前までは順調な伸び

原産協会はこのほど、10年度の「原子力発電に係る産業動向調査」の結果を取りまとめ発表した。11年9〜11月にかけ、電気事業者、鉱工業、商社など、計547社を対象にアンケートを実施し、うち212社より回答を得たもの。東日本大震災・原子力事故発生以前のデータだが、原子力関係の輸出高の大幅増などから、「産業全体は堅調に推移した」と分析している。

10年度の大きな動きとしては、鉱工業他の原子力関係受注残高が2兆3213億円(対前年度比18.2%増)、同海外向け売上高が1314億円(同21.6%増)となり、いずれも大きな伸びを見せた点をあげている。また、電気事業者の支出高、鉱工業他の売上高は、多少の増減はあるものの、前年度から概ね横ばいで、従事者数も増加していることから、「堅調な推移」とみている。原子力関係支出高は、電気事業者で2兆1420億円(同0.3%増)、鉱工業他で1兆8043億円(同0.9%減)、一方、従事者数は、電気事業者で1万2147人(同4.1%増)、鉱工業他で3万4035人(同1.0%増)となった。

この他、11年度に向けた景況感としては、10年度と比べて「悪い」と回答した企業の割合が72.3%と大きく増加、売上高についても「減少」が57.5%で過半数を占めた。さらに、12年度に関しても、景況感、売上高ともに、「悪くなる」がそれぞれ74.6%、73.9%の回答となっており、全般に一層の悪化傾向との見方がうかがえる調査結果となった。

また、各社にとっての課題としては、「政府の政策方針・法令等の把握」(44.2%)や、「業界動向の把握」(28.4%)をあげており、業界全体では、「日本政府の省庁間の連携、統一的な原子力政策」(54.5%)、「福島第一原発災害の収束」(51.5%)、「国民からの原子力に対する信頼の回復」(46.0%)などが指摘された。

今後の有望分野については、「デコミッショニング事業に関するサービス分野」を回答した企業がが31.1%で、前年度より大幅な伸びをみせ、この他、「海外(輸出)事業に関するサービス分野」(29.1%)、「プラント事業に関するサービス分野」(26.5%)が、それに次いでいる。


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