チェホフスカ氏 原子力導入は合理的な選択

原子力の導入は電源の多様化という側面でポーランドにとって非常に重要であり、エネルギー政策の柱としてこの先も続くことになる。

主な理由は長期的に安価な電力を安定供給する必要があるほか、環境へも配慮しなければならないという点だ。導入を決定するまでには、経済や環境、技術的な要素を検討したほか、今世紀初めに様々な国で原子力プロジェクトが復活・増加してきたという事実を考慮したが、我が国では他の発電技術の補完という位置付けとなる。

原子力開発の範囲や活動リスト、スケジュールなどを含めた開発ロードマップは2009年に採択され、現在進行中の環境影響評価の協議がこれを補完する形で反映されることになっている。しかし、国内経済にはまだ、原子力産業が立ち上がっていないため、様々な法体系の整備や組織の構築が必要。技術的にも管理面でも最高レベルのものをめざしている。

現在、国内で主力の石炭火力発電所が高経年化しつつあるため、温室効果ガスの排出抑制が可能な原子力で、2つのサイトに合計600万kW分の発電設備を建設する計画だ。初号機の運開予定年は2020年だが、一般消費者や産業界が受け入れられるレベルに価格を抑える必要がある。

こうしたことをゼロから進めていくには国を挙げて多面的かつ長期的に取り組む必要があり、原子力によって革新的な経済を作りつつ、国内産業の参画を促していくことになる。原子力はこれまで50年の歴史の中でほとんど成功裏に運転されており、保障措置や安全対策も世界的に進化。特に福島事故後の1年間でそれらはさらに目覚ましく発展した。このようなあらゆる側面からも、原子力はポーランドにとっては合理的な選択と言える。

福島事故を受けて、世界では原子力開発を減速する向きもあろうが、ポーランドはこれを逆行させようとは考えていない。国内の世論調査でも、原子力計画に対する支持率は福島事故以前の水準に回復しており、少なくとも我が国では長期的な世論への影響はなかったことになる。色々と痛みを伴う経験もあったが、それらを乗り越え、多くの知識を身につけた我々は、これ以上原子力の導入計画を遅らせる訳にはいかないのだということを強調しておきたい。


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