天野氏(ビデオ) 2030年までに90基が新規運開

チェルノブイリ事故以降、原発の安全性は大幅に改善されたが、事故のリスクを完全になくすことはできない。

福島事故後、世界の原子力発電に影が落とされ、今後も長年にわたって影響があるだろう。同事故によって損なわれた安全性に対する一般公衆の信頼を取り戻すため、事業者や規制当局、政府などのすべてが国際原子力機関(IAEA)とともに真剣に取り組んでいかねばならない。昨年9月に採択した原子力安全のための行動計画はその行程を示すもので、現在これに基づいて、すべての原子力発電国がストレステストを実施中だ。

福島後の原子力利用は、以前予測したほどのペースではないものの、今後何十年にもわたって拡大していくと予測している。現在、世界で建設中原子炉の3分の2が世界の成長の中心であるアジアでのもの。2030年までに少なくとも90基が新たに運開すると見られ、そのほとんどが中国やインドなどすでに原子力発電を行っている国での増設だ。また、多くの途上国も原子力導入を計画しているが、その背景にはエネルギー需要の世界的な増加や地球温暖化への懸念、化石燃料価格の高騰、エネルギー供給セキュリティなどの要素が存在する。

福島事故では人と組織に関わる問題が事故原因の大きな部分を占めていたが、それはすべての原子力発電国に対する警鐘でもあった。実際、どの国でも現在、過酷自然災害への対応や、その際の長期的な電源喪失対策およびバックアップ電源の保護強化と冷却用水源の確保を進めている。

また、国レベルや国際的な緊急時対応体制も拡充されてきており、今後は福島規模の原子力災害が発生する確率は低減されたと考えている。原子力発電は安全に関してはこれまでにかなり誇れる実績を積み上げてきており、新たに建設される原子炉にはさらに、福島世代とは異なり、これまで以上に高い安全機能が作り込まれる予定。

我々全員には最高水準の原子力安全を実現しつつ、その活動内容や交渉について十分な情報を一般公衆に提供し続ける義務があり、こうした点でもIAEAは日本の信頼できるパートナーであり続けるだろう。


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