東電社長に廣瀬常務 「賠償、廃炉、安定供給に全力」

東京電力は8日、臨時取締役会を開き、西澤俊夫社長(61)の後任として、廣瀬直己常務取締役・福島原子力被災者支援対策本部副本部長(59)を昇格させる人事を決めた。また同じく辞任する勝俣恒久会長(72)の後任には原子力損害賠償支援機構の運営委員長を務める下河邉和彦氏(64)が就任する人事も内定した。両氏は6月下旬に開く株主総会後の取締役会で正式に就任する。

次期社長に決まった廣瀬氏は同日、東京・内幸町の東電本社で記者会見し、今後の基本的な経営についての考えを明らかにした。

まず抱負を聞かれた廣瀬氏は、福島第一原子力発電所事故で被災した方々への賠償、廃炉、合理化を進めながら電気を安定供給するという3つの大きな柱に取り組む覚悟を示した。

今後の原子力政策の行方については、「原子力は国のエネルギー政策の大きな土台だ。国の原子力の議論を見守りたい」との基本的な考え方を示した。東電社内の意識改革にも力を入れる方針を示す一方、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題については、「地元の方々を最大限尊重し、各方面の要望を伺っていきたい」とした。建設工事を開始した直後で中断している青森県の東通1号機の今後については、「原子力発電所の新設はエネルギー政策の根幹の一部をなす。原発事故を起こしてしまい、皆さんの意見を伺って判断していく」と述べるに留まった。

事故を起した原子力発電所の廃炉費用については、「総額がいくらになるか分からない。どこまでが私どもでできて、どこまで超えるとできないか。金額が膨らめば限界がある」と語った。


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