原子力委・小委 原子力比率15%試算も 中間貯蔵の意義高まる

原子力委員会の核燃料サイクル技術検討小委員会(座長=鈴木達治郎・原子力委員長代理)は8日、原子力発電に伴う使用済み燃料の処理方針で、「全量再処理」、「再処理・直接処分併存」、「全量直接処分」の3つの代表シナリオを想定し、廃棄物発生量、経済性などの定量的評価を行った「核燃料サイクルの政策選択肢の評価」および、これを踏まえた政策選択肢の総合評価をまとめる予定だったが、今の段階では不確実な情報を見極めてから意志決定を行う「留保」の内容について意見がまとまらず、次回に議論を繰り越すことになった。留保期間中、六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場操業へ向けての活動などを継続しつつ判断材料を集めるという意見と、それらの活動を一時中断するという意見が出ている。

今回は原子力発電比率を約15%とする「原子力比率‘U」の試算も行ったが、全量再処理と再処理・直接処分併存がともに14.4兆円で、全量直接処分は10.9兆〜11.6兆円と、他ケース同様、全量直接処分のほうが最も割安という結果となった。

評価項目ではまず、使用済み燃料の貯蔵能力増強を、いずれのシナリオでも管理の柔軟性を高める上で重要とし、「全量直接処分」のシナリオでは、遅くとも30年までにすべての原子力発電所の残存貯蔵容量がなくなるとしているほか、「全量再処理」以外のシナリオでは、使用済み燃料が、資源ではなく、廃棄物として取り扱われることから、社会受容性面でも課題があるなどと指摘している。 また、「全量再処理」と「再処理・直接処分併存」では、六ヶ所再処理工場が稼動すれば、プルトニウムの所有量を増やさずに、バランスよくプルサーマルが実施可能とする一方、原子力発電比率0%の「原子力比率V」だと、国内在庫のプルトニウムを消費するには、原子力発電をゼロとなる2020年までに燃焼しきれず、MOX燃料加工能力を確保する必要があるなど、国際的視点に鑑みた課題を掲げた。

中長期的な課題として、経済性については、将来を見通して発生する費用を比較した場合「全量直接処分」が最も安く、次いで「再処理・直接処分併存」と試算されるが、「全量直接処分」については使用済み燃料の貯蔵場所が確保できず、発電が停止することで発生する代替電源費用リスクがあるともしている。また、いずれのシナリオでも、最終処分施設の立地・建設が不可欠だが、「全量再処理」と「再処理・直接処分併存」では、直接処分を導入することで、処分施設の面積が、「全量再処理」に比べ約2.6倍にもなるほか、廃棄物にプルトニウムが含まれることから、地域住民の理解獲得が困難となることも指摘した。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで