原産協会 自治体から意見聴取 国の主導的役割に期待

原産協会はこのほど、昨年3月の福島原子力発電所事故を受けて、同協会の会員でもある原子力発電所の立地自治体から、事故後の率直な意見を取りまとめ公表した。

福島と宮城を除く立地4県、17市町村の36名から個人的意見として聴取した。

「今後の原子力のあり方に関する国の取組みについて」として、▽交付金の魅力もあったが、国策に協力するというのが、原子力を受け入れた地域の原点。国のより主導的な役割を期待▽国として目指すべき方向性の骨格を示すことが重要▽これまでのように専門的な話は専門家に任せておけば良いと住民は思わなくなったことから、住民の納得感が得られるような分かりやすい説明が何よりも重要▽原子力の安全性については、総論ではなく、原子力発電所の個別の議論を期待▽原子力に依存しない社会のリスクが認識されていない。

「放射線対応について」では、▽放射線について国民に安心を与えるのは、基準を下げるのではなく、ブレない信念のある対応。政府の一貫性のない対応が放射線に対しての過度の不安を与えてしまった、と指摘。

「復興について」は、▽除染は技術的問題だが、帰宅は社会的問題。線量が下がっても風評被害等が解決できなければ生活の糧を得ることは難しく、除染の先を見た政治的大英断を期待。

「避難について」は、▽広域の避難、遠方への避難は、市町村では解決できないさまざまな課題があることから、避難にあたっての基本的な考え方を国が示すことを期待▽EPZの拡大やPPZの設置については、さまざまな問題が発生することから、並行して議論を行い、実効性があるものにしなければならない▽EPZの拡大として30キロメートルが公表された段階では、実行が難しくても範囲を狭めることはできず、その地点は立地地点として適していないということになるのではないかと危惧。

「使用済み燃料の中間貯蔵施設について」も、▽今回の事故で中間貯蔵問題は、事業者だけでなく、立地自治体にとっても大きな問題になっていると認識。

「その他」として、▽原子力発電の恩恵を一番受けている消費地の人々の、原子力に対する理解の低さを懸念▽地元工場で瞬時の電圧低下が欠陥製品を発生させ、損害賠償にまで発展しそうになった経験から、品質の良い電気を自然エネルギーで提供できるか懸念▽今後、行政として、どのように原子力広報を行っていくかは、自治体の課題と認識──などと率直な意見が多数寄せられ、今後の課題が浮き彫りとなっている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで