新蔚珍の2基で起工式 韓国で福島事故後初めて

韓国水力原子力会社(KHNP)は4日、東部に立地する蔚珍原子力発電所で新蔚珍1、2号機の起工式を執り行った。昨年12月に同国の安全委員会が建設許可を発給していたもので、福島事故後に同国で初めて本格着工する建設計画だ。現在、建屋の基礎掘削作業が進められており、1、2号機の完成日程はそれぞれ、2017年4月と18年4月となっている。

両炉は韓国がアラブ首長国連邦に輸出する改良型加圧水型炉(APR1400)と同型になる予定で、出力は各140万kW。90年代に米国のCE社が設計認証を取得した「システム80+」をベースに改良したものだが、KHNP社では同国で最初の完全国産化原子炉だと強調した。また、両炉の建設許可は2008年9月にKHNP社が申請したが、安全委は福島事故後、設計基準を超える最悪の事態を想定して設定された50件の改善策のうち33件を適用。規制当局の安全性強化対策を建設作業に適用するとしている。

韓国では定検中だった古里1号機で、2月に発生した一時的な非常用電源喪失の報告が1か月近く遅れるなど、原子力への信頼を揺るがしかねない事象も発生。しかし、原子力を同国の代表的な輸出産業の1つに育成するという政府方針に依然として変更はなく、地元住民など約700名とともに新蔚珍1、2号機の起工式に出席した李明博大統領は「原子力を始めてわずか40数年で韓国は原子力技術で自立する夢を成し遂げた」と賞賛した。


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