フランスの大統領選挙 オランド社会党候補当選

6日にフランスで行われた大統領選挙の決選投票で、社会党のF.オランド前第一書記(=写真)が51.63%の票を獲得し、再選を目指していたN.サルコジ大統領(得票率48.37%)を僅差で下す結果となった。

ギリシャやアイルランドでの債務危機など、2009年末以降のユーロ危機で失業率の上昇と景気後退が一向に改善されず、ユーロ圏内の財政再建のためのドイツと歩調を合わせた緊縮財政政策などが現職大統領に不利に働いたとみられている。社会党候補が大統領に就任するのは95年まで務めたミッテラン元大統領以来17年ぶりだが、原子力を基幹産業とする同国では、当時も原子力そのものについては容認。急速な拡大政策の見直し程度に留まっている。

オランド候補は4月22日に実施された第1回目の投票の際、60項目からなる選挙公約を公表。その中で「2025年までに原子力による発電シェアを現在の75%から50%に削減する」と明言した。国内初の欧州加圧水型炉(EPR)となるフラマンビル原子力発電所3号機の建設工事は完了させるものの、運開後34年が経過し、昨年7月に40年間まで運転延長が認められたばかりのフェッセンハイム原子力発電所1号機を含む同原発の2基は速やかに閉鎖させる方針を表明していた。

しかし、決選投票直前になると同氏の発言は、「フェッセンハイムの古い原子炉2基は閉鎖の準備を始め、2020年以降に運転寿命を迎える原子炉では認可延長の作業は行わず、風力などの再生可能エネルギーや省エネで電力を供給する」との内容にトーンダウン。

これまで安価な電力を供給してきた原子力を急激に縮小すれば、原子力を推進もしくは容認してきた労働組合などからの反発も予想されることから、次期大統領がどの程度の縮小政策を実行できるか判断するのは時期尚早と言えよう。


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