ヨルダンの原子力導入計画 候補設計を2社に絞る

ヨルダン国営のペトラ通信は4月29日、同国初の原子力発電所建設発注先を選定している原子力委員会(JAEC)が、候補企業を仏アレバ社と三菱重工の合弁事業体であるアトメア社およびロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社の2社に絞り込んだことを伝えた。

福島事故後の教訓も踏まえ、これら2社の提案する設計が最も厳しい安全要項とヨルダンの必要事項を満たせる「ベストな2件」と判断したもの。同国は今後、2019年の完成を目標に、技術的な問題に関する2社との協議を継続するが、日本とヨルダン2国間の原子力協力協定は今年2月に発効。アトメア社が原子炉建設を受注した場合でも輸出が可能だ。

ヨルダンでは大容量の原子炉よりも、出力70万〜100万kW程度の中型炉が適切と考えており、2009年時点で(1)ロシアの100万kW級VVER(ロシア型PWR)(2)日仏企業連合の「ATMEA1」(3)韓国のOPR(出力100万kW)かAPR(100万〜140万kW)(4)カナダ・SNCラバリン社の改良型CANDU6(EC6)か第3世代プラスのACR1000を候補としていた。

これらのうち、JAECはロシアと日仏連合およびカナダから昨年6月末に技術提案書を受領。これに先立つ3月19日には、福島事故の原因となった事象や故障を考慮した安全分析を入札パッケージに含めるよう、参加企業に要請していた。このように安全性を徹底的に考慮した統合的な技術評価の結果、カナダの重水炉設計を候補から外すことになったと見られている。

日仏連合の「ATMEA1」はMOX燃料のフル装荷も可能な第3世代プラスのPWRで、仏国の安全規制当局は今年2月、同設計が同国の安全規制と技術的要件を果たすとともに、地震や洪水、大型航空機の衝突からも重要機器が保護されることが明確になったという審査結果を表明。その安全性を保証している。


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