原子力の必要性強調 全原協総会 河瀬会長が続投

全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協、会長=河瀬一治・敦賀市長)は11日、東京の全国町村会館で平成24年度総会を開き、事業計画や政府への要望などを承認し、河瀬会長の留任も決めた。

河瀬会長は開会の挨拶で、原子力災害について「自治体としての機能維持はもとより、将来像を描くことさえできない過酷な状況だ」と表現し、国の初動対応や防災体制が全く機能していなかった、と厳しく批判した。

同会長はまた、原子力安全の確保について、一刻も早い原子力規制庁の発足と原子力防災体制の抜本的な強化を求めた。

その上で、全原協の考え方として同会長は、「資源の乏しい我が国にとって、原子力に代わり社会活動の基幹となり得る有効なエネルギー源が見いだされていない現状において、原子力の必要性・有用性は失われていない」と強調し、「国が原子力発電所の安全性を確実に高め、我が国の将来を見据えた原子力政策に責任を持って取り組んでいくのであれば、今後も原子力政策、ひいては国家の発展に協力していきたい」と述べ、原子力発電を今後も支持していく考えを鮮明に打ち出した。

総会後、国との意見交換の場が設けられ、枝野幸男経産相(=写真)、細野豪志・原発事故担当相、松下忠洋・復興庁副大臣、神本美恵子・文科大臣政務官、近藤駿介・原子力委員長が次々挨拶し、大臣らが退席した後は各省庁の担当官らが対応した。

枝野経産相は、「十分に国が信頼してもらえていないことを真摯に受け止めている。特に大飯原発3、4号機の再稼働に当っては、国民の皆さんの理解を得ていきたい」と述べた。

細野担当相は「除染をしっかりやり抜く。政府を挙げて取り組んでいる」と述べ、そこに国民の意志があると強調した。また、強力な規制機関を作り上げることの重要性を強調し、「真っ先にやることは地元防災に取り組むことだ」とし、防災指針を作り、地元自治体に防災計画を作ってもらわなければならないと指摘、「地元の所在市町村の声を真摯に聞いていきたい」と述べた。

近藤委員長は、原子力政策の中で重要課題として、「地域社会との関係や人材の確保が重要だ。いかなることになっても、共存・共生以外に道はない」と語った。

意見交換の中で、資源エネルギー庁の担当官は、今夏のエネルギー計画策定に向けて、資源エネルギー調査会での「意見対立も大きいが、5月中には、選択肢の原案を提示したい」と述べた。


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