「立地点あっての原子力政策」 新大綱策定会議 受入れ自治体が主張

第17回新大綱策定会議が9日、都内で開催された。

冒頭で、原子力委員会が大飯3、4号機の再稼動に妨げとなりえる本策定会議での議題を外したとの新聞報道があったことを受け、近藤委員長より「外部からの要請を受けて議題を意図的に外した事実はなく、事務局に準備を指示した段階であり、議題にするまでに至っていない」と説明があった。

鈴木達治郎・原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会座長より、前日8日に行われた小委員会での報告があり、「全量再処理」など3つのシナリオを選択するまで判断を待つ「留保」の考えをめぐって、意見が出された。

三村申吾・原子力発電関係団体協議会会長(青森県知事)は、国が進めてきた燃料サイクル路線は立地道県の協力あってこそ成り立ってきたものであり、当面不透明な状況におかれる留保の選択は、立地自治体の協力根拠に影響を及ぼすと主張した。

河瀬一治・全国原子力発電所所在市町村協議会会長(敦賀市長)、立地地域と消費地の温度差について触れ、核燃料サイクルの判断を先延ばしするだけになるのを避けて確固たる原子力政策を打ち出すことを強く求めた。

八木誠・電気事業連合会会長(関西電力社長)は、資源獲得競争や資源の枯渇という不安要素から重要性を増す再処理政策を原則としつつ一方では政策に柔軟性を持たせるために直接処分の検討を進めるということであれば併存シナリオは現実的であるが、留保については、政策の空白期間が発生すること自体が立地地域の理解を得る上での前提条件を欠き、六ヶ所再処理工場の運転やプルサーマルを進めることが困難となることから否定的な見方を示した。

一方で伴英幸・原子力資料情報室共同代表は、世論は脱原発の声が大きく、国策の変更が求められていると主張した。

山名元・京都大学原子炉実験所教授は、再処理か直接処分か選択することの難しさや重みについての理解を求め、経済面のみならず、技術的戦略を考えていく必要性を語った。


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