全原協が福島事故の地元避難状況を調査 国からの避難情報 多くは届かず 炉心注水不能情報も 混乱の中、首長が独自判断

全国原子力発電所所在地市町村協議会(全原協)の嶽勤治事務局長は22日の原子力委員会で、福島第一原子力発電所事故による原子力災害被災自治体等調査結果を報告した。

全原協は「原子力災害検討ワーキンググループ」を設置し、福島第一発電所事故による災害を検証し、全原協会員の中で被災した福島県内の6市町(双葉町、大熊町、楢葉町、富岡町、南相馬市、浪江町)および原子力災害に至らなかった事業者(女川原子力発電所、東海第二発電所)を調査した。

今回の大規模な複合災害で被災市町村は、想定外の行政機能移転や自治体区域を越える広域避難などの過酷な状況に追い込まれた。調査した6市町のうち全市町が原子力災害対策特別措置法に基づく地震発生の第1報を受けた記録はなく、同法の10条通報(全交流電源喪失)は大熊町と楢葉町のみ、15条通報(非常用炉心冷却装置注水不能)は大熊町しか受けていない。発電所の状況連絡も5市町にはなく、唯一受けた大熊町も避難判断に必要な情報がなかったため、事故の深刻さが伝えられなかった。避難先や避難経路の指示はあったとしても不十分で、ヨウ素剤は6市町とも保有していたが服用については16日に文書指示のあった南相馬市以外は指示が出されず、服用状況にばらつきが出た。

今回の調査により抽出された課題・問題点とその検討の方向性について33の項目に分けてまとめている。


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