保安院長 耐性検査の遅れ陳謝 提出済み申請20基

深野弘行・原子力安全・保安院長は18日の記者会見で、与野党での国会審議が進まず、新たな原子力規制機関の発足が遅れ移行が進まない状況について、「4月以降も責任を持ってしっかり対応するよう(枝野経産)大臣から指示を受けている」と述べる一方、福島事故後の原子力発電所の安全性を確認するコンピュータを用いたストレステスト(耐性検査)の確認作業が遅れていることを陳謝した。

福島事故後の安全性確認のためのストレステストは、定期検査終了後に原子力発電所を再稼働させることができるかどうかを確認する1次評価と、その後の総合安全を確認する2次評価との2段階に分かれている。5月5日には日本の全50基の原子力発電所が停止中となったが、現在、1次評価審査の保安院提出済みは昨年10月末の関西電力・大飯3号機以来、計20基で、保安院の安全確認後、原子力安全委員会のダブルチェックを経て政府4閣僚による政治的確認までに至ったのは4月13日の大飯3、4号機の2基のみ。次いで四国電力・伊方3号機が3月26日に保安院の審査を終了して安全委員会に提出されているだけだ。

深野保安院長は、計画遅れの理由について、「もともと日本では未知の課題であり、作業が輻輳していること、実際に作業を行うプラント・メーカーの作業能力、保安院の評価能力などの問題もあり、見通しが甘かった」と説明した。

大飯3、4号機の運転再開問題で、地元福井県の西川一誠知事から「特別な監視体制」を求められている点については、現在、検討中とした。

2次評価の評価項目については、専門家による意見聴取会などで検討を行っている段階だが、評価項目としては、安全委の指摘も踏まえ、地震・津波以外の自然現象、例えば、火山活動による降灰や竜巻について、防護措置を考慮することなども挙げられている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで