国会事故調 海江田元大臣聴取 県2キロ避難知らず

国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は17日、第14回会合を参議院議員会館で開き、昨年3月の事故当時、経産相を務めていた海江田万里・衆議院議員から話を聞いた。

海江田・元経産相は冒頭、「私なりに一生懸命やったつもりだが、反省すべき点もいくつかあるだろう。いまでも日々、1年前に何をやっていたかを毎朝思い出す日々を送っている」と述べた。

海江田・元経産相は3月11日の事故当時の行動について説明した。発災時は、参院決算委員会の開催中で、経済産業省に戻り、大臣室で防災服に着替え、首相官邸に行った。再び経産省に戻り、経産省として事故対応について次官以下が集まり会議を行った。その会議終了後に打合せをしていたとき、保安院次長から同事故が15条事象になったとの報告を受けた。総理に緊急事態宣言を出してもらうために再び官邸に行った。菅首相には保安院長、次長が主に説明した。菅首相からは、炉の状態、緊急事態宣言を出す法的根拠などについて質問があり、首相の口からは「チェルノブイリと同じになる」など「チェルノブイリ」という言葉が2、3回出た、と述懐した。結果的に19時03分に緊急事態宣言が出されたが、「総理の理解を得るために時間がかかった」と述べた。

櫻井正史委員(弁護士、元名古屋高等検察庁検事長)が、避難指示について、政府の前に福島県が半径2キロメートルの避難指示を出したことは知っていたかと尋ねたのに対し、「知らなかった。報告がなかった」と語った。

また海江田・元経産相は、政府は班目春樹・原子力安全委員長らの意見を聞いて半径3キロメートルの同心円状の避難指示を出した点について、「(放射能を含んだ水蒸気を、水に通したうえで排気筒から大気に排出する)ウエット・ベントなので十分(放射能は)軽減されると聞いた」と述べた。

その後、淡水70トンの炉内注入が終了したとの連絡が入り、次は淡水でも海水でもいいので、何よりもまず炉内の冷却が重要だと思っていた一方、「塩(海水)を炉に入れると廃炉との認識はあった」と振り返った。

同日の国会事故調では、関係箇所への資料提供要求と、論点整理の第1回目を行った。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで