[原子力ワンポイント]日本の放射線・放射能基準−福島第一原発事故〈番外編(18)〉 セシウム、福島でも核実験時の半分

大気圏内核実験の時には、自然放射性物質のカリウム40(K40)の4分の1にあたるセシウム137(Cs137)が560ベクレル(Bq)体内にありました。今回はその半分程度と推計されています。

ゲンくん セシウムによる内部被ばくを心配する人が多いけど、いったい人はどのくらいセシウムを持っていたの。

テツにぃ 放射線医学総合研究所(放医研)の内山正史氏は、大気圏内核実験が行われていた1964年から放医研で測定されたCs137の体内の量をグラフ化(=図1)しています。最大値は1964年の560Bqで、K40の4000Bqと比較してみます。Cs137は体外への排出時間が長いので、同じベクレル数なら、K40の2倍の強さで人体に影響を及ぼすことになるといわれており、その換算を行うと、K40の4分の1相当が体内にあったことになります。その後約20Bqまで減少しました。

ゲンくん 今回の事故ではどうなったの。

テツにぃ 2011年12月22日開催の厚労省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会では、K40と合わせて、セシウム134(Cs134)とCs137の年間摂取量を推計しています。福島県を例にとると、K40は0.19ミリシーベルト(mSv)、Cs134とCs137の合計は0.02mSvとなり、ほぼK40の10分の1になりました(=図2)。大気圏内核実験の時の半分程度です。

ゲンくん 人は内部被ばくとしては、K40から大きい影響を受けながらも克服してきたんだね。

テツにぃ カリウムは必要栄養素で、血圧を下げるとか、神経伝達・筋肉の収縮などを助けるとか、尿酸やたんぱく質の燃えカスなどの老廃物の腎臓における排泄を促す働きをするので摂取を制限することはできません。私たちは内部被ばくと生まれた時から死ぬまで付き合わなければなりません。しかし、カリウムやセシウムはアルカリ金属で、筋肉に集まりやすい性質がありますが、その筋肉にがんが起こることはまずないと言われています。

原産協会・政策推進部


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