環境相に穏健派のブリック氏 仏国で新内閣が発足

仏国で第24代大統領に就任したF.オランド氏は16日、J−M.エロー首相の提案に基づき、新政府の閣僚を任命した。

原子力輸出などを管轄する経済・財務・貿易大臣には社会党の重鎮P.モスコビシ元欧州問題担当相を充てる一方、原子力開発および安全規制の権限を有する環境・持続可能開発・エネルギー大臣には、社会党の上院議員で経済学者でもあるN・ブリック女史を起用。ユーロ危機など喫緊の重要課題である経済対策で即戦力となる人物で固めるとともに、選挙戦の公約どおり閣僚の半数に女性を登用しているのが特徴だ。

社会党議員のモスコビシ経済相は二度にわたり欧州議会・議員に選出されるなど経験豊富な政治家。オランド氏が大統領選に出馬した当初から同氏の選挙対策責任者を務めており、75%の原子力発電シェアを2025年までに50%まで削減するとのエネルギー転換戦略を支持している。

また、5年以内に古いフェッセンハイム原発を閉鎖する一方、国内初の欧州加圧水型炉(EPR)として建設中のフラマンビル3号機については完成させると明言。電力需要の管理、および再生可能エネルギーの投資ファンドを通じて同産業のクラスターを創設することにより、新たな雇用を生み出すとともに、速やかにエネルギー源の移行を図る考えだ。

ブリック環境相は原子力に対して比較的寛容と言われているが、県議会の財務委員会等で環境税に関する情報報告書を作成した経歴はあるものの、これまで環境や原子力開発の問題で明確な姿勢を示していない。

閣僚名簿では大統領選における原子力縮小路線で共闘態勢を組んだ緑の党から、党首のC.デュフロ女史が住宅大臣に就任。同氏が前評判通り環境相に任命されていた場合は極端な減原子力政策の推進も考えられたが、穏健派のブリック大臣が原子力の将来を巡るオープンな議論を国民的レベルで開始するとなれば、単なる賛否の対立に留まらない冷静な議論が促されるとの見方もあり、今後の展開が注目される。


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