メルケル首相が環境相を解任 ドイツ

ドイツのA.メルケル首相は16日、同国で原子炉規制責任者の役割を担っていた連邦環境・原子炉安全省(BMU)のN.レトゲン大臣を解任すると発表した。後任には、同首相の側近の1人で、昨年まで欧州連邦主義者連合(UEF)ドイツ支部の支部長を務めていたP.アルトマイヤー下院議員(=写真)が指名されている。

同国では13日、ボンやデュッセルドルフなどの大都市を擁し、人口も国内最多のノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州で州議会選挙が行われたが、首相の与党で保守派のキリスト教民主同盟(CDU)は大敗を期した。比例代表制の同選挙で、CDUはメルケル首相の後継者と目されていた党内で最も集票力のあるレトゲン大臣を州の首相候補に投入。しかし、同相は選挙後の州政府における自らの去就について明言を避けるなど、州政府よりも中央政府でのキャリアを重視しているとの印象を持たれたのが選挙結果に影響したと伝えられている。

メルケル首相は福島事故後、これまでの原子力推進政策から一転し、2020年までに再生可能エネルギーで総発電電力量の35%を賄うとの脱原子力政策を表明した。レトゲン氏の解任を伝える記者会見の席で同首相は、このようなエネルギー政策上、かつてない規模の改革を進めていくには、中心的責務を担う環境相の役割が非常に重要になると強調。政権勢力の立て直しも含め、政治的に影響力の強い人材の登用が必要と判断したと見られている。


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