第12回放射線遮蔽国際会議 ICRS12運営委員長 中村 尚司(東北大学) 安全性向上にも貢献 新知見集め奈良で開催

第12回放射線遮蔽国際会議ICRS−12が、今年9月2日から7日まで、奈良市奈良新公会堂において日本原子力学会の主催、米国原子力学会(ANS)、米国保健物理学会、韓国原子力学会、中国原子力学会、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)、米国オークリッジ国立研究所放射線安全情報センター(RSICC)等の共催で、ANS放射線防護遮蔽部会会合RPSD2012を兼ねて開催される。

会議は、放射線遮蔽に係わる国際的な研究の進展の総括、今後の研究動向と重点領域についての専門家間の議論、放射線遮蔽を基軸とした研究の促進、世界における原子力エネルギー・放射線利用の発展に資することを目的としている。下表に示すように4〜5年毎に欧州、米国及び日本の3極で順番に開催されているこの分野における唯一の国際会議で、第10回以降はRPSDとの共同開催となっている。

会議は、第5回以前は「原子炉遮蔽国際会議」の名称だったが、多方面における放射線利用の増大に伴い、第6回以降は「放射線遮蔽国際会議」となっている。過去2回の日本開催は、かつての日本原子力研究所が主催していた。会議はOECD/NEAが中心となり取りまとめを行ってきており、直近の米国アトランタで開催された第11回では240件の発表、300人の参加(日本から34人)があり、ここで第12回の日本開催が決定された。

会議では、原子力エネルギー利用に係る原子炉、燃料サイクル施設、放射性廃棄物施設、核燃料輸送・貯蔵、放射線利用に係る加速器施設、医療施設、工業施設等に関する放射線遮蔽、安全、防護を対象とした設計コードや関連データの開発と応用、遮蔽実験研究、放射線計測技術開発、線量評価及び放射線防護基準等について、各国専門家や実務者による幅広い発表と議論が行われる。

昨今の原子力を巡る情勢は、エネルギー安定確保と温室効果ガス削減を契機に原子力エネルギー利用の大幅な増大に向かっており、新規導入を含めて多くの国で原子力発電所の拡大が計画されている。さらに、粒子線治療やPET診断などの先進医療の急速な拡大に見られるように工業、農業分野を含めて、加速器やラジオアイソトープからの各種放射線は、国民生活や産業振興に重要な役割を担っている。原子力利用の安全と発展の基礎を支えるのが放射線遮蔽や防護の役割であり、会議は放射線利用に係る動向と現状を把握し、将来の課題を探るための極めて重要な情報交換の場として、世界の原子力エネルギー、放射線利用の安全と発展に大きな役割を果たしてきた。

今回はこれらに加えて、特に国際的にも関心が高い昨年3月に発生した東京電力・福島第一原子力発電所事故に関する特別セッションを設けている。環境中の放射能と放射線のモニタリング、環境と個人の線量評価、放射線防護、環境影響評価と回復、除染と廃棄物処理、廃止措置等に関する発表を期待するとともに、プレナリーセッション(全体会議)でも事故の概要と今後の課題等についての招待講演を検討している。

会議での討論が、今後本格化される環境修復、燃料デブリの取出しを含めた廃止措置の立案・実作業において、さらに、世界の原子力及び放射線の利用における安全性の向上に大きく貢献することを期待する。

今回の開催では、原子力利用の拡大が著しい韓国と中国の原子力学会が共催となるなど、アジア地域の原子力関係者が数多く参加する見込みであり、我が国の原子力利用の将来にとっても近年になく重要な会議となるものと考える。

発表論文は査読の後、日本原子力学会のPNSTとして刊行され、ホームページからダウンロードできることになる。また、9月2日には医学物理関係のワークショップも同じ場所で開催される。

なお、「第12回放射線遮蔽国際会議ICRS−12」の詳細は、下記ホームページに掲載されている。http://www.icrs12.org/

13年ぶりに日本で開かれる会議に、是非多くの方々が参加していただくことを期待している。

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遮蔽国際会議の開催年と開催地
第1回(1958年)英国・ケンブリッジ
第2回(1961年)スウェーデン・スタズビック
第3回(1967年)英国・ハーウェル
第4回(1972年)仏国・パリ
第5回(1977年)米国・ノックスビル
第6回(1983年)日本・東京
第7回(1988年)英国・ボーンマス
第8回(1994年)米国・アーリントン
第9回(1999年)日本・つくば
第10回(2004年)ポルトガル・マディラ
第11回(2008年)米国・アトランタ
第12回(2012年)日本・奈良


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