広域影響は2号機放出が原因 放射能量を評価

東京電力は24日、昨年3月の福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の総量や放出時期の新たな評価結果を公表した。

それによると大気への放出量は、評価期間を昨年3月12日から同31日までとし、同4月以降は3月中の放出量の1%未満と評価されたことから、除外した。その結果、他機関の推定と比較するため、ヨウ素131とセシウム137のみを対象にヨウ素換算して約900ペタ・ベクレルとした。

海洋への放出は、評価期間を昨年3月26日から同9月30日として、ヨウ素131が約11ペタ・べクレル、セシウム134が約3.5ペタ・べクレル、同137が約3.6ペタ・べクレルと推定した。

これらの放出を時系列にみると、同原子力発電所から約30キロメートル離れた飯舘村などへの広範囲な放射性物質の汚染は、3月15日未明の2号機格納容器の内圧が高まり破損した時に約160ペタ・ベクレルの放出があったことが原因と見ている。その午後には北西の風が吹き、夜には雨が降って土壌汚染が広まった。

最大の放出量は、3号機の格納容器の圧力が急減した16日で、放出量は180ペタ・ベクレルと推定しているが、この後は降雨がなかったために、地表には大きな影響は与えずに大気に拡散したものとしている。

格納容器内の蒸気を水を通した後に排気筒から放出して減圧するベントや、原子炉建屋の水素爆発時にはそれほど多くの放射性物質は放出されなかった。

1号機から3号機の全体の放出影響の割合は、ほぼ1号機が2割、2号機、3号機が各4割としている。

旧ソ連のチェルノブイリ原発事故での放射性物質の総放出量は、国際原子力事故評価尺度(INES)では約5200ペタ・ベクレルで、福島事故の約6倍を放出した。


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